この作者はひとつのキーワードを作中で重層的に扱い、言霊を高めていくという手法に非常に長けているのですが、今回のキーワードはエピグラフにもプロローグにもあるとおり「家」です。「ホームレス」という存在を、汚れとして忌避することもなければ弱者として同情することもなく、このような視点で描いたことにまず驚かされます。それにしてもライトノベルで(しかもアニメ化するほどの人気シリーズで)まさかホームレスの本質に迫る小説が登場しようとは。
それと同時にこの7巻ではこれまで奇妙なサブキャラクターという立ち位置を外さなかった少佐にはじめてスポットライトが当てられ、その闇が映し出されます。これほど異常な事件、切実な背景にあって、しかし少佐が少佐らしく最後まで行動し続けたその人物描写には、作者のキャラクターへのたしかな理解と愛情が感じられます。
またゲストキャラのアイドル・ユイも魅力的で、ナルミの無意識ジゴロっぷりとアリスの可愛らしい嫉妬も磨きがかかっています。ユイにはぜひ再登場してまたアリスをやきもきさせてほしいものです。
最後に、この巻は作者が「毛色が違う」と言っている通り、これまでになくいわゆるジャンルフィクション的な「ミステリ」の様相を呈しています。正直、そのページが訪れたときはかなり驚きました。まさかこのシリーズで、という驚愕の事件は、数々のキャラクターの思惑をすべて呑み込んで最終的に見事な収束を見せます。作者の技巧のたしかさを見せつけられる一冊です。