とにかく読んでいて幸せだった。
冒頭のわずかな部分を除いてはこの作品を読んでいる間は
とてつもなく幸せだった。
「書店員さんが大絶賛!」という帯。
少し前に「担当さんが大絶賛!」のような帯の作品にがっかりさせられた。それだけに期待はさほどしなかったのだけれど。
こいつはすごい、確かに面白い、それに「元気をくれる」
「帯に偽りなし」という稀有な作品だった。
タイトルと皮肉ではなく素敵な装丁では
もしかしたら損をしているのかもしれない。
本来この本を手にとって
そして抱腹絶倒ほろり、捨てたもんじゃないよね、やるぞぉ〜
となる人たちはもしかしたらもっと違うタイトルデザインのほうが
惹きつけることができたかも。
ユーモアも文体も確かに素敵だけれど
一番素敵だったのは逃げていないこと。
この種の作品の主人公って
えらそうなこと言っても
実はただ逃げてるだけだったり
人の気持ちの大切さを説きつつ
実は全うな人間の地道な努力を踏みにじっていたりするんだけれど
そういうのが一切ない。
これはなかなかないことだと思う。
弱くても不器用でも
とにかく真っ向から対峙して逃げてないから
こんなに潔く気持ちいい作品になるんだろうなあ。
それにつけても
作者の作品はもっともっと売れていいと思う。
作者はもっと評価されてしかるべしだと思う。
と心配していたら
なあんだ
今年の初夏に『明日の記憶』映画化だって。
よかったよかった。
ご都合主義の部分がないわけじゃないけれど
名作マンガ『悪女』を思い出したりもするけれど。
そんなの気にならなかったりする。
ただタイトルに関連する伏線やくだりは
もしかしてなかったほうがすっきりするかなとも思うけれど
それもいいんだ、作者が書きたいと思ったのだから。
そう思えるだけの素敵な作品でした。
追記
実はこの作品下手な心理ノウハウ本や
クレーム処理のハウツー本より
ずっと参考になったりもする。