私の、小説版「ポリフォニカブラック」シリーズに対する評価は非常に低いです
この漫画の原作であるというだけで、一切の情報を持たずに読んだせいか、まずラノベの読者層ではないであろう年齢のせいか はわかりませんが、
小説版をほぼ全巻読みましたが、面白いと思ったのは一巻もありませんでした
ミステリとしては成立していない、サスペンスとしては緊迫感がない、冒険譚としてはヒロインらの成長がない・・・などなど
『何を以って読ませるのか』『何の物語なのか』はわかりませんでした。ラノベとはそうしたものなのかも知れませんが
そこで言えるのは、この漫画は 私と同様に『小説版「ポリフォニカブラック」シリーズを好まない、面白いと思わない』方にもお奨めできる ということです。
まずこの漫画の『難点』を挙げると
・表紙で大損
一番目を引くように描かれているヒロイン・マティアですが、目が空ろで描線も粗雑、色もぱっとせず「黒ずくめ」のはずが全然黒くない など、マナガとその銃がしっかり描かれいるのに比して、ずいぶん冴えないもので、全三巻中もっとも購買意欲を削ぐものとなっているのは大変残念です
・後半は駆け足
本巻中におさめなければならない、ということで後半は大変な駆け足で、原作を知らないと何が起こっているのかはあまりわからないと思います
描画も勢いはありますが、米村氏の繊細さは鳴りを潜めています
・犯人にたどり着くまで
大筋は原作のままなので、ミステリーとしては論外、と言う点は変わりません
俊英マティア警部とマナガ警部補はずいぶん迂遠な推理経路で犯人に辿り着きます
・どうでもいい『単身楽団』とマナガの拳銃
原作でマナガが『単身楽団』を操作してその正体を顕すシーンは『水戸黄門の印籠』の場面のような、一番の盛り上がりシーンとされているのですが、ものすごくあっさりしています
あっさり登場、あっさり退場(全壊)。
・巻末コメントなどは一切なし
米村氏からも編集部からも何もありません。この米村氏版コミカライズはこれで完結だということ、原作者が亡くなられたことなど、なにかああるかと思いましたが、全く何もありませんでした。
原作者が亡くなられ、またそのためか連載が滞った時にもサイトで一切なにもコメントしなかったFC編集部らしいといえば、らしいでしょう
では、何を以ってお奨めしましょう
・増した深み
描かれる主要人物の情念、関係性について増した深みが素晴らしい
これにつきます。言葉にすればたった一つの項目ですが、この項目のためだけにこの本を買うに値します
原作では結局ほとんど描かれなかった
レオンが被害者をどう思っていたのか・レオンにとっての契約とは
被害者と犯人との関係性、彼女らにとっての精霊契約とは・レオンとはどういうものだったのか
レオンは誰に何を望み・誰に何を望まれているのか
そしてマティアとマナガの二人にとっての契約とは。お互いの存在とは。
表紙が良くないので買うのを迷いましたが、間違いなく買ってよかった一冊です
後半の駆け足、そのための説明台詞、ぱっとしない表紙のヒロイン を併せて原点1 です