人智学を提唱した思想家、ルドルフ・シュタイナーの四大主著の一冊と目される著作だという。この著書には因縁があって、高校時代に級友から紹介され、何度か読んでみたもののよくわからなかったものだ。今になって読み直してみると、その営為の過程がよくわかってくる。
内容としては体・魂・霊という三つの世界の階層を示し、それぞれの世界の内実と相互連関について解き明かすといった体で、論述の流れとしては低次の領域から高い世界へと上昇していくように構成している。
昔はその一つ一つの記述が難解かつ高尚に思えたものだったが、今読むと色々な著作の影響が頭に思い浮かんでくる。世界の構成としてはダンテの「神曲」だし、世界観や語彙としては新プラトン主義やドイツ観念論哲学の系譜、人間の形成過程の著述としてはゲーテのビルドゥングスロマンが下敷きになっていて、そこにヒンドゥー教の味付けが加わっているというように、先行のさまざまな知を混交して作り上げた体系、という感じがした。そして読み応えとしては、平田篤胤の「霊の真柱」と驚くほど似ている。このような感じを、オカルトというのだろうか。
他の主著も手元にあるので読んでみようと思うが、不思議なほど他からの影響を多く含んでいた一冊だった。シュタイナー的総合の知というべきか。