読み終えてから改めて見る表紙に何とも切ないホロ苦さが残る。本シリーズが長期化すれば「最初の山場」となり、そうでなければ「最大のクライマックス」と称されるであろう大きな出来事が起こる第3巻は、その舞台となり、全8話のうち5話を占めた夏祭りのために用意されたと言っても過言ではあるまい。最初の3話は、実質的には前振りである。
アハハでウフフ、もしかしたらちょっぴりムフフ?という、いろいろと楽しげなイベントではあるが、多少強引ながらもこれを下校に絡めつつ、ゆっくり時間をかけて夏祭りを綴っている。いつもの4人による、いつも風景の中に、ほんの少しだけまりもの思惑を滲ませた流れを“表の展開”とすれば、突発的に行われた千歳の行動を“裏の展開”とすることができよう。そして、そこに現れる千歳の“心の友”が驚きをさらに助長することになる。三石留萌。そう、本巻で初登場を遂げた留萌が本巻最大の見どころであり、同時に今後の行方を大いに悩ますのである。
登場の仕方も驚きなら、その後の言動も驚き。ここまでの作風からすると、かなり毛色の違うキャラだけに、読み手としては少々戸惑うところだが、「せっかく良い雰囲気だったのに不穏な空気が漂ったなぁ」になるか、「これまでがちょっとユルかったから、これはこれで面白くなりそう」になるかは、読み手の好みもさることながら、今後の展開をどのように運ぶかで大きく変わってこよう。人の話をあまり聞かず一人で思い込むタチのまりもには「まず、千歳や十勝の話を聞きなさいよ」という気がしないでもないが、これをどういう形で収束させるのかが不安でもあり楽しみでもある。この仲介役としてさきっぽが意外な活躍をするかもしれない。どちらにせよ、これまでの下校仲間から一歩進んだ関係に発展するのか、やはりお仲間同士の関係は維持しようとするのか。この波乱の行方に注目である。