阪神・淡路大震災では、マスコミその他の目に触れなかった「現場」が数多く存在したという。著者も災害ボランティア活動を通じて、その「現場」のいくつかを見つめることになり、その活動をまとめたのが本書である。
私自身も、阪神・淡路大震災の後に災害救援ボランティア団体に入り、いくつかの被災地で活動に従事した経験を持つが、マスコミ取材の偏りのためメディアスクラムが生じる一方で、取材の対象とならなかった被災地では深刻な人手不足に見舞われるのを目の当たりにした。2005年の福岡県西方沖地震でもその問題は解消されず、地元紙が特集記事で警鐘を鳴らしたほどである。その点の指摘だけでも、本書の意義は重要であろう。
もうひとつ、災害ボランティアの可能性とその限界も、本書で生々しく描かれている。著者の実例にもあるとおり、四輪車が「動く障害物」となり、そこいらの原付や自転車が縦横無尽に駆け巡り、このことが災害救援ボランティアにおける二輪車活用を促進することになった。一方で、ボランティアでも深く踏み込めない、あるいは深入りしすぎて抜け出せず、そちらの社会復帰が問題になることもあった。ボランティアが行うべき活動の線引きは、状況によって多少変化するものの、「日常生活あってのボランティア」という基本は守らねばならない。著者の場合は比較的深入りしやすい環境にあったわけだが、その点を多少割り引いて評価する必要があるだろう。
現在では、災害ボランティアに関する手引書も様々な形で入手できるので、それらを参考にしながら読むと、より理解が進むものと信ずる。