集大成。その一言に尽きる最終巻。
作者の想いが心から伝わる、素晴らしい一冊でした。
初めてこの本を手にしたのは中学生の頃。
その時はまだ、今程この大好きな街に大した愛着も無く、でもふと手にした本書を、気付けば買い続けていた。
大学で神戸を離れた時も、就職で神戸を離れた時も。
あれからもう10年近く。
ふとページをめくれば、神戸の風を感じ、個性的な登場人物の神戸弁、関西弁に心癒され、何度も読み返した。
そんな愛する本書もついに終わってしまう。
確実に迫る終幕へ、でもゆっくりと慌てず、優しい視点で物語は進む。
レビュータイトルに拝借した「そして幸せな日向の記憶を。」は涙なくしては読めない。
タイトルからも分かる、あの方の話、そしてそこからの旅立ち。
上記以外の話でも、今まで読み続けたファンには思わず笑みや涙があふれる話でいっぱい。
すべての話が作者の想いがあふれている。
心模様多く、心優しい主人公・桂の視点を通して語られる彼女の大学4年間は、楽しい、悲しい、嬉しい、愛しい、日々の揺らめきを、かけがえの無い当たり前の日常を見せてくれた。
「神戸在住」は可愛らしい絵柄ながら、内包するテーマは病気や死、葛藤、神戸の人々が忘れられない大震災まで、重いテーマも多々あった。でもだからこそ、ここまで素晴らしいと思える作品になったのだと思う。日常に影となって潜むそれらに目を背けては、決して生きていけない。
最終話「神戸より」は、桂がある友人に宛てた手紙を通して語られる卒業前後の話。
幸せな日々を丁寧に、丁寧に作者は綴ってくれた。
この本に出会えたことを、心から幸せに思う。
帯には「一生、読み続けられる本」
ホンマに。私はこのめっちゃええ本を、一生読み続ける。
「美しく彩られた冬の日向、冴えわたる空気に包まれ、私は最初の一歩を踏み出した。今はまだつらい記憶も、やがてはやさしい思い出となり、人生の糧となる日を信じて。」本文71ページより