1945年の神戸大空襲と1995年の阪神・淡路大震災で多くの建物の倒壊や焼失などの犠牲を受けた神戸は見事に立ち直っています。
そんな神戸の明治・大正・昭和初期の姿をハンディな文庫で眺められるわけで、昔の神戸の姿に関心がある当方には嬉しい出版でした。
神戸のマークが「かうべ」の「か」をモティーフにして作られたことを知りました。神戸港も兵庫港も「扇港」の名の通り形状でした。なるほどと思える内容が詰め込まれています。
つい先日、大輪田泊を訪れ184ページに掲載してある1286年北条時貞によって建立されたとする清盛塚と琵琶塚を拝見してきました。訪れる人の少ない「供養塔」ですが、昔の姿と今の姿との対比は当方には関心がありましたので。
37ページ以降の旧居留地には、今も神戸市立博物館として利用されている横浜正金銀行神戸支店や今旧居留地十五番館として再現されたカフェ・レストランがあり、お洒落な雰囲気が漂います。
64ページの地図にあるように、元町・南京町の神戸電気鉄道の路線と今の地下鉄海岸線のルートの微妙な違いも興味を覚えました。
兵庫県庁舎は外観もそのまま残っており、今兵庫県公館として一般に開放(毎週土曜日限定)されています。その素晴らしい内部空間はため息がでるほどです。元町の散策のついでにどうぞ。
諏訪山金星台の景観も変わりがないように見えました。憩いの場ですし、港町神戸を一望にできる景観は優れモノです。
摩耶ケーブルの開通は1925年、摩耶ロープウェイの開業が1955年でしたか。山頂の掬星台からの眺めは大好きです。まさしく1000万ドルの夜景の名の通りの見事さです。山頂にとう利天上寺(とうりてんじょうじ)があったことを本書で初めて知りました。
今は武庫川女子大学甲子園会館となっているロイドの「甲子園ホテル」の創業当時の写真もありました。阪神パークの昭和初期の建物も風格があるものでしたね。
204ページにある移情閣は移築され孫文記念館として公開されています。
いずれも神戸の観光ガイドブックとしての使用も考えられます。当然なくなっているものが多い訳ですが、街並みは基本的にそのままですから、往時の姿を愉しむことはできます。北野町の異人館街の写真はトアホテル以外ほとんどなかったのが不思議でした。その当時はあまり関心を持たれなかったのでしょうね。
本書の項目(取り上げた場所)です。神戸の歴史、神戸港、旧居留地、元町・南京町、三宮・生田、北野(異人館街)・山手、諏訪山・碇山・花隈、摩耶山・布引・六甲山、灘・芦屋・西宮、有馬・宝塚、神戸駅・湊川新開地、兵庫・和田岬、須磨・舞子、明石・姫路・赤穂。