孫ほど年齢の違う歌舞伎役者市川亀治郎が、学問の方法論は「梅原学」という哲学者梅原猛と対論。対等に渡り合っているから大したものである。
梅原 「水底の歌」(非業の死、人麿刑死説)は「ヤマトタケル」(非業の死、天翔ける心)の逆で、空中を飛翔するんじゃなくて、下へ下へ、沈んでいく。
市川 一人の人を理解するには、あらゆるものを読むことが必要だと思います。「梅原猛」という人間を理解するには、梅原猛のすべての本を読み尽くさなくてはいけない。 学術書にも文学的面白さを感じる。
梅原猛と市川亀治郎。怨霊とワザヲギ。かつて鎮魂の呪師であった梅原は、今、二役に挑む。怨霊と呪師。ワザヲギたる亀治郎は、その肉体を変化させて神を誘う。彼は女形をその器として神を降ろす。
怨霊とワザヲギのこの魅力ある対論の背後に大きなものがある。日本芸能史の源流の鋭利でで斬新な捉え方である。