死後に出版された、友人のペラン神父に宛てた書簡集。
ヴェイユは徹底的に集団的なものを排除して個人の苦悩と忍耐に回帰する。この著作のなかで、神の退去と集団性の悪の相関関係について非常に鋭い分析が行われています。ヴェイユは壮絶なレトリックを駆使して、悪の存在がむしろ必然であることを説きます。個が個でなくなるとき、個を排除する悪が生まれる。ヴェイユは早くから革命がさらなる悲劇を生むことを指摘していました。彼女に限らず、ユダヤ人は神の自己否定性を直観して集団であることを嫌う傾向にあります。個に回帰すること、そして、そこにとどまらずに個さえも否定すること。この徹底的な生命の自己否定の中にこそ退去した神が開示される。そのとき、真の光と真の沈黙が時間を超越した美として顕現する。シモーヌ・ヴェイユこそ20世紀の生前解脱者と呼ぶに相応しい人物でしょう。彼女もまた、言語を絶する虚無と孤独の中で「すべてよし(tout est bien)」と呟いていたのかもしれません。