自分は正直SFに疎いのでメインストーリーの内容の賛否に対する言及は敢えて避けてみますが、膨大な量の知識を含んだ薀蓄小説として非常に楽しめました。
と学会会長である山元氏の得意分野と思われます、UFOや超能力などのメジャー所からファフロッキーズ現象などのマイナーなハイ・ストレンジネスに至るまで超常現象、オカルトについて幅広く触れられていて、また、それに留まらず宗教、サイ科学、GA、AI、模倣子仮説、中国語の部屋、ハトの迷信、報道倫理、オッカムの剃刀等までバラエティに富んだ大量のトリビア的情報が盛り込まれています。
また、それ故に参考文献リストに挙げられる書籍もあらゆる分野の良書が厳選されリストアップされていて、そこから派生する形で別の本を読むという楽しみ方ができます。(個人的には認知や知覚、意識に関した書籍、人工生命や人工知能を取り扱ったもの、進化論や進化に関して扱ったもので良い出会いがありました)
参考文献として挙げられているもの以外にも作中で触れた事に関する著書を探すと言った、強いて言ってしまえば「と学会本」的な優良ブックガイドとして読む事ができます。
ただ、それら薀蓄が大量すぎてしまったのが原因か少し首を捻ってしまうような箇所があり一つ星を減らしてみました。
少しだけメインストーリーに言及いたしますと、帯の推薦文で乙一氏が「ミステリ」と書かれていたように「神はなぜ人間を作ったか?」という問題提起に対し言わば推理小説的な謎解きが展開されるのが非常にユニークで面白いと思いました。(言うなればメタミステリでしょうか)
後は作中登場する量子コンピュータに関する解説のほとんどが、「主人公には理解できなかった」という理由で省略されていたのが少し残念です。