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たとえば「脳死に近い状態」でのトレーニング、などと連発してるが、これは具体的にどういう状態なのか、著者がわかってるとは思えないし、脳死判定の是非を巡る議論が盛んな中、非常に不見識かつ非常識な比喩と言わねばならない。こういう場面では、「脳が酸欠状態の非常にきついトレーニング」と言えば事足りるし、こういう大袈裟で馬鹿げた比喩を使うと、全体がうそくさくなってしまう。著者には猛省を期待する。
清水宏保選手本人のHPはいたく客観的・具体的で、それとあまりに対照的だ。スポーツライターなるものが、勝手に自分の妄想で選手を曲解し、それがまかり通ってしまった例だろう。
もっと淡々と事実を述べてくれたら、どんなによかっただろうか。
著者の取材経歴のせいでしょうがことあるごとにF1を持ち出すのが気になります。セナや本田スタッフの証言より堀井学やウォザースプーンなど同じ世界で戦うライバルの談話が欲しかったです。
兎にも角にも一流アスリートの一流たる所以が分かる一冊です。
清水宏保さんはここまでするのか、という驚きを私は感じながらも、それが、俗に言う「スポーツだけ、それを盗ったら何も残らない」日本の運動選手そしてその指導者たちの中の9割方(と私は思っている)とは、清水さんは目指す世界が違う。
清水さんが日大学生時代に、医学生とともに人体についての勉強を履修したのは、まさに、物事の本質に気づき、それを探求する能力を、それまでの経験で備えたのでありましょう。そしてそれには、清水さんの亡父の努力なくしてはありえなかっただろう。
以前に私は、清水さんは亡父の葬儀に、その生前のいいつけに従い、参列しなかったという話をどこかで読んだ。
私は、正直、そう言われたちしてもなにもそこまで、と考えた。
しかし、この本を読んで、私のその考えは180度変わった。
清水さんがそうすることが、清水さんが敬愛してやまなかった亡父に、そして母に、兄姉らに対する、清水さんの最たる、この上ない亡父への感謝と愛する気持ちの表現であったに違いないと解った。これであってこそ、天国の故人は喜んで、安心されていらっしゃることでしょう。
通勤電車の中で、私はあふれる涙をどうしようもできぬままに、頁を手繰った。
日本のスポーツ当事者は(アマ、プロ、年齢性別問わず)、ぜひこの本をお読み下さい。何がこの本(清水さんの言葉)に含まれているか、それをしっかり理解し、もし理解できなければ出来るように自身を勉強させて理解し、何をどうななすべきかを見据えてほしい。そして同時に、この本は、スポーツを観る立場とはどうあるべきかをも示唆している。多くの人々に一読を薦めます。
この本を読み始めた頃、最相葉月さんの「絶対音感」を思い出した。私に音楽知識があれば、いくらかは読みやすいだろうと感じた。この「神の肉体 清水宏保」ではその心配は不要だった。そこまでの重さは感じなかった。いや、清水さんの求める世界に対する知識など誰もが持ち得ないものだ、と果たして気付いた。
著者吉井妙子さんへ。私はこの本で初めてあなたを知り、作品を読みました。内容はわかりやすく、また、とても読みやすいです。今後ともご活躍なさるのを期待し、応援します。
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