イスラム社会の恥部とも言える性の実態に取り組み紹介した点は高く評価する。しかし、一読で分かるように、これはノンフィクションではありえない。それぞれの物語にドラマティックなストーリーがあり、相応のオチまで付いている。海外であれ、スラム地区であれ、日々の生活は同じことの繰り返し。劇的な事件に連続して遭遇することは考えられず、2,3編読むと底が割れてしまい、うんざりしてしまう。
海外での情報収集の最大の問題は言葉の壁である。私自身、英国滞在の経験があるが、会話力がある程度のレベルに達しても、心を通い合わせるような細やかなニュアンスの会話はできるものでなく、何かに手を触れて確かめたいのにガラスに隔てられて触れることのできない様なもどかしさを感じ続けた。
短期間で現地の人と入り組んだ会話などできるわけがなく、作者が見聞した事実を基に組み立てたフィクションと受け止めるほうがすっきりする。