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26 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
人の心の拠り所とは,
By 八咫幡 (アトランタ) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫) (文庫)
関西大震災を題材として,人が生きてゆく上での心の支えや,生きる原動力,あるいは常識だとか日常,人生観などというものが,いかに脆くて儚い虚構であり,夢幻のようなものであるかということを描いた作品だと感じた。 現実というのは,人の心の中心にあるそれら真実とは似て非なるものであり,また時としてそれを大いに裏切る。 たとえば大震災という出来事が現実として起こり,それまで人々がどっぷり浸るように信じきっていたモノが根本から徹底的に破壊されたとき,人が直面するものは一体何なのか,ということを筆者は考えたかったのではなかろうか。 『super-frog saves tokyo』 という物語で,金融機関で働く主人公のもとに突然現れた大きなカエルが,東京の地下に潜む巨大なミミズを 『退治する,退治しなくてはならない』 と言う。 それはカエルにしか出来ない仕事であり,それで東京を救うのだ,と信じて疑わない。 そしてある日,巨大ミミズとの死闘を演じてきたカエルは,力尽きるも自分が世を救ったのだと信じて,満足げに死んで,朽ちてゆく。 カエルにとって 『巨大ミミズとの闘い』 というのは,カエルの心の中心に据えられた大いなる虚構であり,同時に人間一人一人が信じきっている 『真実』 というものを表している。 それは人の生きがいでもあり,本人にとっての常識であり,あるいは日常と呼ぶべきものだ。 それは仕事であったり,子供であったり,ポジティブなものやネガティブなものであれ,何にせよ本人にしか見ることの出来ないモノである。 人の心はその虚構によって支配され,また虚構のために生きて働いて,それに命をかけて,力尽き,最後は死んで土に帰る。 つまり,このカエルというのは主人公自身であり,また人間の誰もがこのカエルなのである。 村上春樹の作品は,一見チンプンカンプンで意味不明なストーリーなようでいて,そこに秘められた比喩や暗示を見出すと,とたんに目から鱗が落ちたように一貫したテーマが見えてくる。 浅いようでいて深く,深いようでいて浅いような,そういうところが村上作品の魅力なんじゃなかろうか。
14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
村上春樹の世界観,
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レビュー対象商品: 神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫) (文庫)
村上春樹の作品は何冊か読んだが、いつもその不思議な世界観に圧倒される。自分はどちらかというと長編小説は苦手だが、この作品は、6つの短編に分かれていて読みやすい。震災という出来事と、6人の主人公の心の奥の揺れがうまく共鳴しあっている。 主人公たちの、それぞれのこころの中の傷をうまく表現していると感じた。「タイランド」の主人公の女医がタイ人の運転手から「あなたの心の中に石が入っている」といわれ、不思議なアドバイスを受けるところなど、何か救われる思いがした。 この6人が、特に悲惨な人生を歩んできたとは思わない。ただ、人は多かれ少なかれ、悲しみや心の病を伴って生きていると思う。各人の内的世界における傷とそれに対する静かな癒しが不思議な感じで表現されていた。そして、自分は十分にそれを共感することが出来た。
39 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
しっかりとした結末がある、村上作品はいかがですか?,
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レビュー対象商品: 神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫) (文庫)
収録されているのは6編の短編小説。最近の村上作品と同様、「喪失感のようなもの」がテーマです。今までの小説と違うところは、主人公が抱えているトラウマがはっきりしていて、それが原因で失ってしまったものもほぼしっかり書かれています。一番安心できるのは、短い作品の中で、それぞれの答えや結末、方向が示されていることにあります。 長編小説だけれども、事件らしい事件がおこらない、かつ解決策も示されていなかった、「ねじまき鳥クロニクル」や「スプートニクの恋人」を読んで、村上作品に対して釈然としない気分のままでいる人も多かったはず。この短編集なら安心感、大ありです。 以下、個人的に好きなものをいくつか紹介します。 表題作「神の子どもたちはみな踊る」 白い月の光を!!浴びてピッチャーズ・マウンドで踊る善也のすがたが目に浮かびます。実写の映画では難しいかもしれないけれど、アニメでそのシルエットを表現したらかっこいいんじゃないかと思います。 「かえるくん、東京を救う」 あなたのような人に声援してほしい、そんなふうにかえるくんに言われたら、うだつのあがらない銀行員・片桐じゃなくたって、一肌脱ぎたくなるでしょう。 書籍の最後を飾る「蜂蜜パイ」
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