「ぼく」こと御子神衛(11歳)は、どことも知れない荒野
にある〈学校(ファシリティ)〉で、寮生活を送っている。
「ぼく」以外の生徒は五人、教職員は三人しかおらず、
授業では実習と称し、犯人当て問題のディスカッション
が行われていた。
「ぼく」たちは〈学校〉の目的や、自分たちが集められた
理由について、あれこれ推測するが真相は見出せない。
そんな折、新入生がやって来たことにより、
それまでの安定した世界に亀裂が入り……。
本作のメイントリックについては、作中でいくつか仮説が提示されたり、結構
露骨なヒントもあるので、カンのいい人は、中盤で察しがつくかもしれません。
しかし作者は、そのトリックによって読者を騙すことを最優先の目的としていたわけではありません。
あくまでそれは、本作の特殊空間と対峙する探偵役の「ぼく」に対して仕掛けられたものなのです。
また、作中人物たちのある属性を誤認させるというそのトリックは、本作と
ほぼ同時期に発表された
××のそれとの類似がしばしば話題になります
が、そちらが、読者のみを標的にした騙り(叙述トリック)であったのに対し、
本作のほうは、作中人物の認識自体に作用しているものであるという点で
大きく異なっています。そういった意味で、むしろ
●●と同系列のトリックと
いったほうが、より正確でしょう。