謎の男朝倉暁生との出会いをきっかけに、牧師の息子として生まれた主人公早乙女輝が、神の救いとは何なのかについて悩み、神の声を聞こうとするあまり、過激な信仰に心酔していくのがこの話の序盤です。12歳の小僧にあんな思考力があるのか?ってのはあえてつっこまないことにします。
この本は、私が読んだ9作品目の貫井作品でした。小説はあまり読まない私ですが、さすがに8作品も読んでいれば、貫井作品に仕掛けられた「トリック」を見破れるだけの警戒心はついていたようです。詳しくはここには書きませんが、「トリック」に関しては概ね私が予想できたものでした。
読後の感想は、「作中には様々な事件が登場するのに、そうやって登場した伏線がいくつか回収されないまま、謎や単なる事件として終わってるものが多いな」ということでした。
しかし、そんな私の読後の感想が浅はかなものであると思わせてくれるのがあの解説!!
鷹城さんの解説を読んで、トリックばかりに注意を払いすぎて作品全体のテーマである「キリスト教(プロテスタント)における“救い”について」に関しては、あまり深く考えずに読み飛ばしてしまっていたことを少し悔やみました。
とはいえ、あの素晴らしい解説とあわせて評価すれば、作品自体のこの読後の満足感は☆5つです!
この作品は、たとえキリスト教の信者の方でなくとも「信仰」と「救い」に関して、何らかのアイデアを与えてくれる作品だと思います。そういった意味では登場人物たちの台詞1つ1つを深く考え、追求ながら、読み進めていかれるとより一層奥深い作品になると思います。信者の方にとっては非常に胸糞悪い作品かもしれませんが…