皆さんのレビューを読んで逐一なるほどと頷いてしまうほど、受け手にとっては幅広い解釈ができそうな本作です。
自分は一巻よりかなり質の向上が行われたと感じました。
筆力はまだかなりムラがあり、良い部分も悪い部分もありますが、概ね前巻より良いバランスになっています。
挿絵も全部に塗りを入れたことで(白黒ですが)前巻よりもドラマを持ち上げるのに一役買っています。
構成力は一巻時より大分上がったように思われ、終盤の怒涛の展開は非常に心地よく感じました。
特にラスト付近のスカーの変化には強い衝撃を受けました。
ここからどうつなげていく?という意味で期待感が膨らみます。
主人公アイがまだ自分を掴みきれていないので、
作者は心を砕いて彼女の心の矛盾と読者間の溝を修正しながら浮き彫りにして書いています。
この子は孤独な子だということをもう一回読者は思い出す必要があるかもしれません。
というわけでオルタスの問題は結末がきちんと用意されていますが、
アイの心に溜まっていく想いは恐らく正の方向ではないように感じました。
僕にはアイが孤独になっていくように見えてしまいます。
この巻での彼女の描写は、恐らく三巻以降にブチ当たるであろう、
この作品の恐らく主題となる部分に焦点を合わせる伏線になっているかと思います。
一人行動が多かったのは彼女を立体的に際立たせるための一種の賭けかもしれません。
とにかく僕はすぐに続きが読みたいです。
ちゃんと一つの話が完結していますが、非常に気になる示唆を残したまま終わっているのです。
取り扱っている主題に生死が鎖のように絡んでおり、
この作品を面白さ以外で計るのは非常に難しいですが、
今のところ登場人物はざっくりと表現すると
「持つもの」「持たざるもの」の二種類に分かれてしまっており、
貧富の差と近い印象を持ってしまっているところで作品自体に疑問が生じてきます。
というのも、生死はもう少し崇高な問題であるように思われるのです。
オルタスの民が自分達の境遇を強く誇っていないことは非常に不思議です。
「持つもの」に対して必要以上に敵意を抱く必要が彼らにあるようには思えません。
この作品はモロに作者の心が試されると感じています。
その問題に敢えて首を突っ込み、暴れようとしている姿に強い好感が持てます。
一巻時では一発ネタになっちゃうんじゃ・・というこっちの目算を綺麗にひっくり返してくれたので、
今後が非常に気になる作品の一つになりました。
新しい価値観を期待してしまいます。新しい設定から紡ぎだされた諸々の設定は中々どれも新鮮な輝きを持っています。