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神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3)
 
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神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3) [文庫]

アナトール・フランス , 大塚 幸男
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容紹介

フランス革命の動乱にまきこまれた純心な若者が断罪する側からされる側へと転じて死んでゆく悲劇を描いた歴史小説。人間は徳の名において正義を行使するには余りにも不完全だから人生の掟は寛容と仁慈でなければならない、として狂信を排した作者の人間観が克明な描写と迫力あるプロットによって見事に形象化されている。

登録情報

  • 文庫: 396ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1977/5/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4003254333
  • ISBN-13: 978-4003254332
  • 発売日: 1977/5/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.5 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 231,710位 (本のベストセラーを見る)
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5つ星のうち 5.0 《時代の狂気》を描破, 2008/5/24
レビュー対象商品: 神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3) (文庫)
 A・フランス後期の代表作。仏革命の恐怖政治下(1793〜94)、革命政府側についた一青年の悲劇を円熟の筆で描いた名作だ。

 正義感と愛国心に燃え、革命政府指導者のマラーやロベスピエールを崇敬する若き画家エヴァリスト・ガムラン。彼は革命裁判所の陪審員に任命されると、救国を叫ぶ同役とともに反革命、陰謀容疑者らを次々と断頭台へ送り込む……。

 作者は徹底した史料調査をもとに練達の技法で《時代の狂気》を描破。物語の核となる苛烈な裁判風景は圧巻だ。裁判官の厳しい審問、反駁する容疑者たち、陪審員の熱を帯びた合議……と、息づまる法廷シーンを再現し、そこには鬼気迫るものさえ感じられる。さらに革命警察への密告におびえる市民の暮らしや囚人の獄中生活など、生々しい場面を縦横に交え、狂わしい「死」のドラマが展開されてゆく。

 その歴史的舞台には実在、架空の多彩なキャラクターが躍る。主人公ガムランについては、断罪の暗い情熱に取りつかれた冷酷無情な人物に見えるが、母親思いの人間的側面も描出され何か憎めない。そして、幾多の血に染まったわが身の厭わしさから恋人と別れ、愛国精神と厳格主義に殉じる彼を作者はそっと哀傷する。

 また、主人公周辺の人々のうち、旧貴族ブロトとロングマール神父の深遠な対話も読みどころのひとつ。作者はブロトの口を借りて自己の人生観や宗教観、世界観などを語り、その懐疑主義的思想、思考をかいま見ることができる。

 解説によると、A・フランスは作品について「人間は徳の名において正義を行使するにはあまりにも不完全な者であること、されば人生の掟は寛容と仁慈とでなければならないことを示したかった」と説明。裁判に「神」を見、「徳の名において正義を行使」した陪審員たちの狂信や慢心を強く戒めているのだ。沈痛な主題が心に重くのしかかる作品である。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 訳者解説への疑問, 2011/6/24
By 
スワン - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: 神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3) (文庫)
この小説の梗概については、他のレビュアーの方々が書かれているので、別のことを書いてみる。
訳者「解説」についての疑問である。

大塚幸男氏が、平易な訳文と丁寧な「訳注」で、本書を読みやすいものにしてくれたことには感謝するが、アナトール・フランスがロシア革命を支持し、フランス共産党に加入した事実などをもってして――、
《『神々は渇く』は決して反革命的な小説ではない。この小説を反動的なものとして持ち上げた者に禍いあれ!》
と、書いているのはいささか異様に感じた。

それというのも、本書の主題は明らかに、「正義」「平等」「自由」といった抽象的な価値を絶対的に信じ込んだ主人公ガムランが、革命成就のために知人・友人・妹の愛人などにまで「反革命」のレッテルを貼りつけ、つぎつぎと断頭台に送る、その<狂信>に疑問符を投げかけるところにあるからだ。

訳者は、A・フランスがけっして「反動的」ではなかった証拠として、ガムランを本来こころ優しい青年として、また、パリを恐怖政治の渦のなかに叩き込んだロベスピエールを《人間的な姿》で描いていることを挙げているが、それは逆ではないか。

こころ優しい青年も、人間的なロベスピエールも、いったん絶対的な価値を<狂信>すると、いかに残忍な機械と化してしまうか――それを効果的に表現するために、作者は彼らの優しい側面も描出したのではないか。

史実として――修道院を破壊し、教会財産を没収してキリスト教を弾圧する一方、「理性の神」への信仰を強いたロベスピエールらの<神々>はまさに血に<渇いていた>。
本文にも、こうある。
《陰謀に、策動に、裏切りに、国民公会は恐怖政治をもって対抗していた。神々は渇いていたのである》(122ページ)

そうした狂信者のかたわらに――ガムランの庶民的な母、懐疑派の旧貴族、キリスト教信仰をもちつづける神父、純朴な売春少女、ガムランと愛を交わしつづける愛人エロディらが配され、作者の共感は後者に寄せられているように思う。

ガムランの母は息子にこういう。
《もうたくさんだよ。お前のマラも他の人間と違いはしない。他の人間以上の価値があるわけではない。お前は若いから、幻想を抱いているのだよ。今日はマラについてそんなことをお言いだけれど、お前はミラボや、ラ・ファイエットや、ペティヨンや、ブリソについても、かつてそう言ったじゃないか》(26ページ)

フランス革命に関する論文などでは知りづらい、革命期の習俗や人間模様が生きいきと描かれていて、とても参考になった。
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2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 ノーベル文学賞受賞作家の名作。, 2011/5/24
レビュー対象商品: 神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3) (文庫)
フランスの動乱期で生きる青年の物語。
青年ガムランが断罪する側から断罪される側へと堕ちていき、自分でも
もう後戻りできないところまできたことを自覚しつつ、自分の信念を
最後まで貫き通し、そして死んでいく。
神々は血に飢えて渇いている。正義を目指し多くの人民を死刑にし、
神々を、つまり正義を満たそうとするガムランは徳を失っている。
「人間は徳の名において正義を行使するにはあまりにも不完全である」と考える
作者の思想が見事に表れている。
フランスの歴史や地理を理解していないとわかりにくい部分も多くあるが、
非常に読み応えのある名作である。
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