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神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)
 
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神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103) [新書]

安丸 良夫
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

維新政権が打ちだした神仏分離の政策と、仏教や民俗信仰などに対して全国に猛威をふるった熱狂的な排斥運動は、変革期にありがちな一時的な逸脱にすぎないように見える。が、その過程を経て日本人の精神史的伝統は一大転換をとげた。日本人の精神構造を深く規定している明治初年の国家と宗教をめぐる問題状況を克明に描き出す。

登録情報

  • 新書: 215ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1979/11/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4004201039
  • ISBN-13: 978-4004201038
  • 発売日: 1979/11/20
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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47 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
神仏分離・廃仏毀釈論の古典。初版から30年近くたってなお、近代日本の「宗教」について考えるにあたりまず参照されるべき基本的な文献の一つとなっている。せいぜい200ページくらいの本の中に、とりあえず必要な情報がぎっしりと、しかもわかりやすくまとめられている、といった印象で、やはりすごい。
図式はシンプル。西洋≒近代のインパクトを受けた明治政府が、国家規模の急速な文明化を推進し、と同時に強力な国民統合を達成しようとするなか、日本の正しい「宗教」と誤った「宗教」との間に明確な区別が設けられ、神社≒神道および皇統崇拝を核とする前者がイデオロギー的に再構築される一方、民衆の素朴な神様仏様の複合体からなる後者は「迷信」や「淫祀邪教」とされ廃絶に追い込まれる、という構図である。そして、前者はむしろ「宗教」であることを隠蔽し国家の「祭祀」としてすべての「宗教」に優越する何とも定義しようのない制度と実践の集合体へと変貌し、国家の邪魔にならないように雑多な要素を抑圧し近代化された各種の「宗教」がその集合体に対する貢献の度合いを競い合う、という状況が整備されることで、近代日本の「宗教」をめぐる前提はおおよそ出来上がった。
ということで、「神仏分離」といっても、もともと統合されていた「神仏」を「神」と「仏」に二分したというよりは、《皇祖神>皇統>歴代の忠臣>村落の氏神(祖霊)》という新たなる「神」の階層世界が生成するなか、「仏」も個人の内面性を重視する近代的な「仏教」として啓蒙化されつつ生れかわっていったのであり、また「廃仏」といっても、廃されたのは「仏」のみではなく、「国家によって権威づけられない神仏のすべて」であった。村落民の「欲求充足」の媒体であり彼等の霊的な日常生活を構成していた「民俗信仰の世界は、意味や価値としての自立性をあらかじめ奪われた否定的な次元として、明治政府の開化政策にむきあってしま」ったのである。その否定され破壊されたものたちは、その後に「廃仏」の嵐がひくなか多かれ少なかれ再興されていったとはいえ、もはや、もとのようにはありえなかった。
日本人の「宗教」としてしばしば「神仏習合」がいわれ「神道」と「仏教」が分け隔てなく信仰されると共に、「キリスト教」や「新宗教」がまた別の役割を果たしている、などと論じられる。あるいは、そうした確固たる形式を備えた「成立宗教」とは異質の「民俗宗教」の領域が、日本人の生活を昔から根深く規定してきた、などと論じられたりする。が、そういったもの言いは、あくまでも近代の国家的な「宗教」政策/抑圧/改変を経た後に、さらに戦後になりその国家主義の反省が行なわれ「日本人」の「宗教」に対する見方が変わっていくなかで初めて可能になった論調であり、かなり短期的なスパンでしか通用しない語り方なのではないか、と、本書を読めばきっと思えてくるはずである。
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32 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モチヅキ VINE™ メンバー
 1934年生まれの近代日本思想史研究者が1979年に刊行した新書本。幕末~明治の政治的動乱期において、日本の宗教も大きな変化を蒙った。仏教を支配の基盤にしていた江戸幕府に対して、幕末には天皇の権威の浮上と西洋のキリスト教への脅威の中で、国体神学が台頭し、一部の藩では早くも寺院整理や廃仏毀釈が生じた。明治維新期の神祇官再興と神道国教化、祭政一致への動きは、神道勢力に廃仏への口実を与えるが、主として浄土真宗門徒の組織的抵抗、新政府をめぐる政治・経済情勢、キリスト教をめぐる問題等により、それは必ずしも成功しなかった。しかしこの明治期には、同時に国家的価値観による神社の内実(儀式・大麻配布・神官採用・祝祭日・祭神等)や格付けの再編、国家神の地方的展開、神社統合、神仏分割による修験道等の再編、民俗信仰と非定住民への啓蒙的抑圧、神道の「非宗教」化による「宗教」(仏教・キリスト教・新宗教など)の私事化等も生じており、また幕末の湊川神社・藤島神社等、南朝の功臣を祭る(近代的な)神社の創建の延長線上に、靖国神社も創建された。このように、この時期には開国と近代国家形成という政治情勢を背景に、宗教面でも前近代との断絶が生じていたのであり、本書ではそれを具体的な事例を幾つも挙げて論じている。近代化と宗教の関係について、或いは現代日本の宗教について考えたい人には、一読をお薦めする。近所の神社を見る目も変わるかもしれない。
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25 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By benkeiu VINE™ メンバー
中澤新一『森のバロック』(講談社学術文庫)で引用されていたので興味を持ち読んでみました。

時代を通じて宗教の持つ威力を時の権力はどう感じていたか、どう対応していったかが具体的な事例を豊富に紹介しつつ解説されています。特に、仏教だけでなく神道でさえも(それが天皇の筋につながらなければ)敵視されていった経緯が非常に興味深かったです。これは渡辺京二氏がその著書『北一輝』(ちくま文庫)でも強調していますが、天皇の神格化は明治政府を正当化するために必要な手段であったとともに、権力者が欲した精神的なよりどころとしての意味も強かったのだろうな、と得心しました。

根強く支持されていた土俗の風習や宗教が、権力によって抑え込まれつぶされていき、結局は庶民の宗教心の風化を招き、現代の無節操な信仰心のうすい国民をつくりあげていった、ということを著者は示唆していますが、果たしてそうなのか、他にも原因があるのか、考えさせられました。
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