キリスト実在を証明するかもしれない、聖書時代の遺物の真贋をめぐるイスラエルで係争中の事件を、アメリカ人女性ジャーナリストが追ったノンフィクション。とはいえ、実際の事件とは思えないほど話は破天荒で、登場人物全員が、信じられないほどアヤシイ。このハイテク、コンピュータ万能の時代にも、目に見えないものを頑くなに信じている人たちが、実はものすごく沢山いることに改めてびっくり。
真贋も年代も調べずに、ばか高い骨董品に大金を払う大富豪や、盗掘品と知りながら、安く買い叩き高く売りつける海千山千のディーラーたち。言動が年の経過につれて(上からの圧力で?)コロコロ変わる刑事たち。学問的にはズブの素人であるコレクターに翻弄されまくりの学者や大学教授。そして、キリスト教福音主義派の人たちはやっぱり信じているのだ、キリスト再降臨を。
事件は時系列で語られ、考古学のミニ知識なども織り込まれ、とくに後半は骨箱公開、石板発見を経て、ゴラン逮捕、イスラエル政府の真贋判定委員会の立ち上げ、ついには実際に偽造したらしい人物まで出てきて、怒涛の一気読み!
ためしに、出てくる人物や事件などネットで調べてみたら大量にヒット。偽造犯らしきゴランとは何者で、イスラエル政府は何を考えているのか? アメリカ福音派との関係はどうなっているのだろう。これは実は、とってもアブナイ話なのではないか?
ユダヤ史や、旧約・新約聖書、パレスチナ問題、聖書関係の考古学。なんとなく聞き知っていたつもりのことが、この一冊できれいにつながった。うーん、フィクションだって、ここまで魅力的な謎満載にはできないはず。アップテンポな展開に、ぐいぐい読まされてしまう、秋の夜長に必読の一冊。