タイトルの印象から、右傾的な内容を予測したがまったく違った。
不毛地帯のモデルといわれる、元大本営参謀、伊藤忠商事会長の瀬島隆三氏が90年代に著した対話集。
JALのCEOになった京セラ会長の稲盛氏や、元慶応大学学長の加藤寛氏ら錚々たる面々とテーマ別に対話している。
(※政治家でもないのにこの二人に『先生』と呼ばれており、当時の瀬島氏の権力が伺える。)
主に、日本の未来に向けて、政治改革の視点で対話しながら、瀬島氏の大本営、ソ連抑留、伊藤忠時代、臨調のフィクサー時代の経験を交えながら意見をまとめている。本書は、瀬島氏の過去や臨調の活動を振り返る随想、橋本内閣時代の政商たちの考え方が対話集の形で資料としてまとまったものと理解するといいと思う。
橋本内閣の頃の著作なので、ホットな話題は、膨らむ国債残高や消費税の今後、中央省庁改革、公社民営化、教育改革等の話題が中心で、直接的に現在に繋がっていることが多い。大蔵省や通産省の改革はほぼ瀬島氏の論じるとおりになっており驚いた。また、膨らむ国債に対しても彼はかなり警鐘を鳴らしていたが、これは底なしの悪化が続いている。
省庁は組織は変わったが体質は変わっておらず、10年経ってさらに悪化している日本の現状を照らし合わせるとぞっとする。
一番印象に残ったのが教育改革のところの『日本は戦争で負けて、中国や韓国と競うようなことが悪いことだと教育されたため、五輪などでも韓国選手に闘争心を出すことが敬遠され、結果として低迷を招いている。』 という解説だった。
これは、今でも大差なく昨今の五輪での日本選手の低迷、韓国選手の活躍(かれらは日本に対して闘争心剥き出し)に顕著に現れていると思った。
政治であれ、教育であれ、この本が書かれてから10年以上経っても『祖國再生』の道は険しいと思った。