母と娘を殺した少年。少年法に守られた犯人と、逆に家族を失うだけでなく社会の好奇の目に晒され二重に苦しむこととなった遺族の話。家族を殺された遺族の手記風な感じで話が進んでいく。
設定は『告白』や『十字架』に似ているが、また少し違う形で物語の世界に引き込んでくれる。
遺族となった父と息子は、それぞれ事件を追う過程で犯罪を犯す人間(加害者)と、犯さない人間(被害者)との間に一体何があるのか考えることとなる。
何故、人を殺すという一歩を踏み出してしまったのか。その原因は、本人のせいなのか、脳の個人差によるものなのか、それとも取るに足らないような小さな外因によるものなのか。
『異邦人』以来、語り古された小難しいテーマだけども、より現代的なアプローチをしているだけでなく、読みやすい文体なので一気読み必至。
いい意味で、モヤモヤと読後に残るのがこの作品の味わい深さであろう。
2、3時間あれば読めるので良質な映画を味わうつもりで読まれるといいように思います。
PS
全体的に見ると、序盤の主人公の内面的な話は、もう少しスッキリと省略できたところがあったんじゃないかなーという気がする。あまりその辺の印象に引きづられずに読み進めたほうがいいように私は感じたけれど。