実は企業小説というジャンルは初挑戦。雑誌の書評で推薦してあったので、有名な高杉良の著作をを初めて読んでみました。
「社長の器」というタイトルから、グローバル大企業の社長であり冷徹な兄と、日本のメーカーの社長であり温情厚い弟、という2人の兄弟の対比をするというストーリーは予想通りでしたが、中身があまりに期待はずれ。
兄が社長としてビジネスに関わっている描写はほとんどなく、弟の遺族を執拗に追いつめる冷酷な偏執狂、という部分ばかり。人間的に少し偏っていても、経営者として偉大、という人は実際いるわけで、この描写だけでは兄の経営者(社長)としての器は理解しにくい。また弟にしても、本書が弟の家族を中心に描かれているからか、彼に人間的に魅力があったのも、努力家だったのも理解できるが、経営者としての描写は弱い。
また、後半に出てくる兄と弟の遺族の間の法的なやり取りや手紙の描写も、あまりに冗長すぎて読みにくく、単純な小説としての魅力も高くない、と感じた。本を読むのは比較的早い自分が、読み切るのにずいぶん時間がかかったのは、あまり面白く感じていなかったから。
タイトルの「社長の器」に騙されないで(社長の適性を考える部分はほとんど無い)、昭和の時代の企業小説のひとつとして読むのなら、アリだと思います。あまりお勧めしませんが。