社畜。タイトルにしてみるとなかなか刺激的で、思わず読んでしまいました。
章立ても「『自分らしさ』の罪」「会社の『歯車』となれ」と煽りまくっていて、
果たしてそれは編集者の意図によるものでしょうが、内容は考えていたよりまっとうでした。
著者の藤本さんは、ビジネス書に頻出する以下のフレーズを四大タブーとして取り上げます。
「個性を大事にしろ」「自分らしく生きろ」
「自分で考えろ」「会社の歯車になるな」
こうしたフレーズで頭でっかちになってしまった新人社員はサラリーマンとして成長できない。
まずは5年10年、会社、組織にどっぷり浸かって基礎体力を身に付けやがれ、
というのが本書の趣旨です。
確かに概ね正論だと思います。
上記フレーズを会社で新人がのたまおうものなら僕なら張り倒します。
初めは服従して「知識カード」を集め、検索エンジンを使う準備をするのが新人時代である。
という藤本さんの主張も、若い世代ならよりイメージしやすいかもしれないですよね。
あまたあるビジネス書の読み方(斜め読み)も、的を得ていると思いました。
ただ、これから社会人になる人たちはきっと藤本さんが思う以上に、
会社というものに期待していないと思います。
就職段階からインターンシップという名で体よく労働力搾取をされたり、
会社に入る前からデジタルツールや外国語能力を駆使するようなプレッシャーをかけられたり、
入社したら入社したで同期入社組は以前よりも少なく、
「精鋭」だとかいわれて負担を押し付けられて、
かといって先輩上司が新人だったときのように経費は使えず、
その分頭を使えと言われたりする始末。
こんな会社組織の畜産物になれというのは、
やはり生理的に人としての自尊心が揺さぶられると思うんです。
だからこの本から学ぶとすれば、「入った会社は使えるだけ使い倒せ」ということでしょうか。
研修制度も福利厚生も、そして業務自体も、
自分が自分らしく生きるための肥やしとして使いまくってやる。
将来「国畜」として社会的に養わなければならない先輩上司を、
今から気遣う必要なんてありませんよね。
ただそのために多少の我慢とはっきりとした自覚が必要だというのは、
この本の言う通りだと思います。