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23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
必要なのは社会問題に取り組む「プロ」=社会起業家,
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レビュー対象商品: 社会起業家―「よい社会」をつくる人たち (PHP新書) (新書)
本書は、イギリス、アメリカなどで出現している、ビジネスの手法を持って社会的に有益な事業を行う「社会起業家」について、実例を踏まえながら解説したものである。ここでは、イギリスのシンクタンク「デモス」の報告書に紹介されている事例から説き起こし、官僚機構の行政が失敗してきた、失業、貧困、犯罪、福祉依存といった福祉問題の解決にとって、社会起業家が有効であることを強調している。 その理由は、福祉行政が官僚的な規則や制度を定めて、それを一律に適応させようとするものであるところ、社会起業家は地域の人的資源を活用し、地域の実情にあわせて、独特の方法でそれを実行しようとするためだ。 そして何よりも社会起業家が有効なのは、プロとしての卓越したスキルや能力を有していることだ。アマチュアのボランティア組織のように、それを理由とした、ビジネススキルの欠如や、組織のアカウンタビリティーの欠如は許容されない。 この点に関して著者も「効率的な組織、才能、創造的なアイデア、専門的な技術力など、今や非営利組織でも、テクノロジー・ベンチャーと変わらないくらいのプロとしての経営力がいる時代になった。」(152頁)と明確に述べている。 その上で、我が国の様々な問題の解決において、社会起業家が果たすべき役割を示し、我が国の社会起業家の実例を紹介している。そして、さらに、そうした社会起業家の出現を歴史的に位置づけている。それは、江戸時代、さまざまな地域組織などが福祉、教育活動を行っていたが、近代国家の誕生によって、そうした基盤がすべて国家によって飲み込まれた、とするものである。そして現代は、再び国家からそうした活動分野を社会起業家が取り戻す時代と位置づけている。 以上、本書は、社会起業家について、外国及び我が国の実例、プロとしてのスキルの重要性、さらには歴史的位置づけから、簡略に解説した良書といえるだろう。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
英国・米国・日本の社会起業家の概要の把握に,
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レビュー対象商品: 社会起業家―「よい社会」をつくる人たち (PHP新書) (新書)
本書は近年注目されている社会起業家というものが、どういうものか発祥の地と言われるイギリスの事例や、アメリカの事例を通じて、従来の起業家・企業家との違い、公的セクターとの違いを明らかにしながら、 その成り立ちや、社会企業家に共通する資質や特性について抽出している。 社会企業家とは「医療、福祉、教育、環境、文化などの社会サービスを事業として行う人たち」とし、 自立型福祉システムの構築が望まれたイギリスで注目され、今、日本でも注目されている。 英語でSocial Entrepreneur(ソーシャルアントレプレナー)という存在は90年代後半に英国のシンクタンクのデモスが提唱した。 前半ではイギリスの公共・医療・福祉サービスにおける事例が紹介されている。 一人の改革者である女性により閉鎖の危機にあった病院を立ちなおし、エイズケアの最先端病院として復活したマルドメイ病院。 教会が地域の中心になって、多目的センターとなって地域の青少年たちの活動の場となり、犯罪率を低減させた事例。 リバプールの荒廃した住宅地の共同住宅組合による再開発、いずれにも国や市、民間企業も巻き込んだ社会企業家の姿があります。 この事例はバブル以前に作られ、高齢化・老朽化しているニュータウンなどにも参考になるのではないでしょうか。 また、アメリカの事例では、グラスルーツリーダーとしてテキサス州オースティンの地域に新しい産業を生み出すために、 市や商工会、大学、企業が連携した事例。破たんした自治体が地元の有志によって再生した事例(オハイオ州クリーブランド)などが 紹介されている。アメリカの事例で紹介されているものは、地域の産業を新しく転換した事例が多い。 では、起業家・企業人との違いは何か ・分野の違い。社会起業家は医療、福祉、教育、環境、文化などの社会消費を対象にしている。 ・主たるステークホルダーが違う。社会起業家の最大のステークホルダーは地域の人々であり、 その日立に快適な社会的サービスを提供することだけを考える。 ・関係者の数が違う。社会起業家はオープンな関係を目指しているので、関係者が圧倒的に多い。 しかし、近年、企業の社会的責任なども強く求められるようになってきたり、異業種間や地域との共生も行われていることから、 非常に近い場合も多くなってきている、 最後には日本の事例も多く紹介されており、国のおかれている状況によって社会起業家の役割にも違いがみられるのが面白い。 また、興味深いのはこうした非営利組織のライフサイクルについてのデモスの報告書からの抜粋。 企業の成長と同様、非営利組織においても同様に成長していく。 ステージ1は「寄付による社会資本の獲得期」最初に使命をセットし、パートナーを見つけ、使命を共有できるスタッフを集める ステージ2は「社会資本投資」期。拡大・成長それ自体がこの段階の目的となる。組織の構造が複雑になるため、 マネジメントにおけるスキルが求められる。この時期の失敗の原因として、使命を拡大しすぎること、財政上の危機、 商業的な活動に偏りすぎるなどのアンバランス、マネジメント負荷の拡大など。 ステージ3は「社会資本の配当」期。組織の成熟期。組織の活動が有効で役に立つものであったことを示す必要がある。 そして、非営利組織において最も難しいのが、この成熟期を迎えたあとである。さらなる成長をしていく上では、 ベンチャーや企業と同様、次の新しいサービスを開発していく必要がある。非営利組織における原動力は使命の進化であり、 新たな使命を絶えず創造していくことが求められるのである。 などなど、2000年の発行と少し古くはなりますが、社会起業家が注目され始めた当初のアメリカ、 イギリスの報告書を取りまとめてあり、日本の事例もいくつか紹介されているなど、社会起業家の概要について把握する上では 参考になると思います。
16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
非常に意義のある本です,
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レビュー対象商品: 社会起業家―「よい社会」をつくる人たち (PHP新書) (新書)
イギリスに始まった、社会的、そして個人的意義の調和の追求を日本の一般読者までに浸透させたこの本は非常に意義があります。良いことをするが非効率な公的部門と悪いことをするが効率適な民間部門といったありきたりの命題を乗り越えることが急務である現代において、社会起業家という新しいカテゴリーの出現と浸透は非常に重要です。また、傍観者ではなく、推進者としての筆者の信念も強く伝わってきます。今はやりのNPOに限定されず、営利法人でありながら公的善を達成する方向性を示唆しており、若い起業家にとって、必読の本です。
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