本書は、社会統計学のテキストであり、放送大学で使われているもの。
記述は丁寧であり、わかりやすい。他のジャンルの人が読んでも面白いと思う。
(社会調査に全くの素人で、趣味で統計学をかじっている私などは、一見、簡単そうなクロス表が、こんなにも奥が深かったのかと感銘を受けた。)
構成は、以下のとおり。
(1〜2章)社会調査の基本について(目的、調査の手順、統計学の必要性 等)
(3〜4章)度数分布表について
(5〜6章)クロス表について(作成の仕方、カイ2乗検定 等)
(7〜8章)平均の差の検定(正規分布、t検定)
(9章)分散分析
(10〜11章)回帰分析
(12章)離散変数間の関連(間連係数)
(13〜14章)エラボレーション
(15章)調査報告書・論文の読み方・書き方
最初に読んだとき、(9章)分散分析と(13〜14章)エラボレーションについては少し難しく感じた。
(9章)については、概念の表記に戸惑った。例えば、SS(TOTAL)、SS(BETWEEN)、SS(WITHIN)などが出てきて最初は違和感を感じた。しかし、これは慣れの問題だと思う。2回目に読んだ時には、もう違和感を感じることなく読むことが出来た。
(13〜14章)については、最初、エラボレーションの5つのタイプの区別がつかなくて混乱した。そのため2度目には、丁寧にノートを取りながら、じっくりと時間をかけて読んだ。この2章については、ポイントをノートにまとめ、練習問題を丁寧に解いていったらいいと思う。(ちなみに、この2章が本書の壁であると同時に白眉だと思う。私は、章末の問題を解きながら、社会調査の現場に自分も参加しているような臨場感を感じた。)
放送大学の本の中で、以前「心理統計法」を読んで失望していたので、本書についても、当初、あまり期待はしていなかった。しかし、読後感は期待を大きく上回るものだった。
これほどの本だから、社会調査を学んでいる学生、研究者は、おそらく全員読んでいるに違いない。
したがって、社会調査の素人の私が、レビューを書く必要はないのかもしれない。
けれども、そう思いながらも書かずにいられない。
名著たる所以だと思う。
社会調査の専門家以外の方でも、多少とも統計学に関心のある方には、是非おすすめしたい一冊である。