早稲田大学社会科学部の看板授業、「社会科学方法論A」を簡潔に、かつわかりやすくまとめた一冊。前半部分は近代市民社会の成立と資本主義経済社会の発展を、古代、中世の人間観や社会観を織り交ぜながら、「自由と秩序は両立するか」をテーマに、アダム・スミスの道徳哲学を論じている。カント、フッサール、ハイデガー、ヘーゲル等現代哲学も、心に沁み込むように理解できる。後半部分では、「資本主義経済が発展すると、何ゆえ慢性不況となり、また階級対立が激化するのか」をテーマに、ケインズの「一般理論」と「マルクスの資本論」の両方を論じる。官僚制、偶然性、そして宗教など著者の深い教養に支えられ読み応えがある。社会科学系の学生はもちろんのこと、社会人でも社会科学全般に関して幅広い知識を得たいのなら一読されると良い。