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社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)
 
 

社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書) [新書]

山岸 俊男
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

人々が自分の利益だけを考えて行動すると社会的に望ましくない状態が生まれてしまう社会的ジレンマ。その解決策を探るユニークな論考。
「自分一人ぐらいは」という心理が集団全体にとっての不利益を引き起こす社会的ジレンマ問題。違法駐車、いじめ、環境破壊等々、現代社会で起こっている多くの問題はこの「社会的ジレンマ」と見ることができる。
 著者は数々の調査・実験・シミュレーションから、人間は常に自分の利益を大きくすることだけを考えて「利己的」な行動をとるわけではなく、多くの場合、「みんながするなら自分も」という原理で行動することを明らかにした。そしてこの「みんなが」原理こそが人間が社会環境に適応するために進化させてきた「本当のかしこさ」ではないかと指摘する。
 『信頼の構造』『安心社会から信頼社会へ』などの話題作を発表し、心と社会との関係について、認知科学・心理学・社会学・経済学など多方面からユニークな研究を展開する著者。本書も、これからの社会や教育のあり方を考える上で、お説教的な精神論の限界を乗り越える重要なヒントを与えてくれる。

内容(「BOOK」データベースより)

違法駐車、いじめ、環境破壊等々、「自分一人ぐらいは」という心理が集団全体にとっての不利益を引き起こす社会的ジレンマ問題。数々の実験から、人間は常に「利己的」で「かしこい」行動をとるわけではなく、多くの場合、「みんながするなら」という原理で動くことが分かってきた。この「みんなが」原理こそ、人間が社会環境に適応するために進化させた「本当のかしこさ」ではないかと著者は考える。これからの社会や教育を考える上で重要なヒントを与えてくれるユニークな論考。

登録情報

  • 新書: 227ページ
  • 出版社: PHP研究所 (2000/06)
  • ISBN-10: 4569611745
  • ISBN-13: 978-4569611747
  • 発売日: 2000/06
  • 商品の寸法: 17 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
著者は社会心理学で名を馳せる山岸氏である。
本書は、安価な新書シリーズではあるが、非常に分かりやすい言葉と
例えを用いており、この分野に精通していない方でも理解できる。
「わかっちゃいるけどやめられない」という誰しもが知っているフレーズから
スタートして、社会全般に広がる個人と公共の矛盾点を鋭く導く。
そして「本当のかしこさ」とは何か、見事な命題を読者に与えてくれる。

途中説明に用いたゲーム理論は、説明で使う核心部分を優しく説明しており、
コミットメント問題の例えに使ったダイエットの話、
継続ゲームの例えに使った観光客向けレストランと常連客向けレストランの
違いなど、適切な目線で分かりやすい例を多用している。
難しい言葉の多い、社会学、社会心理学の読み物としては、
これ以上ないぐらいわかりやすい。
扱っている命題は人間であり、社会である。
オフィス、学校など人が2人以上いるところに有効な考え方であり、
適応範囲は広い。

途中で著者が語っているように、本書の発端となったのは、
新しい仮説により著者の考えが変ったことに依拠する。
新しい仮説をきちんと消化し、柔軟に思考する点は、研究者として尊敬できる。

本書は鋭い示唆に富み、我々一般市民に考えさせる命題を与えてくれる。
万人が電車の中でも読んでくれれば、世の中ましになるかもしれない。
高校生以上でないと理解できないかもしれないが、ぜひ読んで欲しい一書だ。

このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書|Amazonが確認した購入
個人レベルでは「いいこと」であっても、社会的レベルでは「わるいこと」になってしまう。
社会的ジレンマとは、ひとことでいえばそういうことである。

たとえば、駅前に自転車を駐輪するのは個人にとっては「便利でいいこと」であるが、
社会レベルでは「駅前の交通を阻害するわるいこと」である。

こうした矛盾を解決するのが、本書の著者が研究している社会学である。

本書を読んでいて衝撃を受けたのは、
「お人よしの善人、惜しみなく与える聖人のような人」が社会レベルではかえって害悪になりうる(かも知れない)、ということである。

それはなぜか。
筆者によると、世の中の大多数の人は「相手がやってくれるなら、自分もやってあげる」といういわゆる「ギブアンドテイク」の人、もしくは「みんながそうなら自分もそうする」という人である。
そして、割合としては少数ながら「相手にかかわらずとにかく自分はやってあげちゃう」お人よしと、「自分はしてもらうだけで一切何もしてあげない」という困った人がいる。

この時、もし社会に「ギブアンドテイク」の人と「お人よし」の人しかいなければ何の問題もない。世の中はうまくいくだろう。
そして、「ギブアンドテイク」の人と「困った人」の場合も、実はあまり問題がないのだ。
多数派の「ギブアンドテイク」の人は「お返し」がなければ何もしてあげなくなるので、最終的には「困った人」を囲い込み、排除することができる。

ところが、「ギブアンドテイク」と「お人よし」と「困った人」が揃うとどうなるのか、
端的にいって「お人よし」の人が「困った人」から搾取されることになるので、「困った人」たちが社会に居場所を獲得してしまうのである。

「困った人」たちの基本原則は、いつでも「自分さえよければいい」だ。
そして社会的ジレンマというのは、基本的に彼らが引き起こす問題である。
そのため、「お人よし」の存在が社会的ジレンマの解決に足を引っ張ってしまうのである。

これは実に興味深いことだ。
極端な話、「聖人が社会に及ぼす間接的害悪」というものが有り得るかもしれないのである。
この世にズルイ奴がいる限り、与えるだけの「お人よし」はそうしたズルさを幇助してしまうのだ。

                 
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
著者なりの社会的ジレンマの解決法が提示されると思って読まなければ、良い本なんだろうと思う。私は読み方を間違えたせいで、カフカ的不条理の世界に迷い込んでしまった。

社会的ジレンマとは、人々が自分の利益や都合だけを考えて行動すると、社会的に望ましくない状態が生まれる状況を言う。

イギリスの農村にあったコモンズと呼ばれる共有の牧草地が、産業革命後、無計画に羊の増産をしたために荒廃した「共有地の悲劇」が社会的ジレンマの典型例として紹介される。

著者は、囚人のジレンマなどをモデル化した実験を駆使して、社会的ジレンマが発生するメカニズムを説明するのだが、どうやってこのジレンマを解決するのか、その答えはなかなか現れない。入試制度や結婚生活が社会的ジレンマの例として語られる論の進め方にも、違和感が次第に大きくなる。

そして突然、「これで社会的ジレンマについての研究の紹介は終りです」と宣告され、解決策は読者に委ねられる。いくつかのヒントはあるのだ。限界質量、ネットワーク、コミットメント・・・。だが、それは本書を読まなくてもわかっていたのではないか。
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