デュルケム、ウェーバーからパーソンズまで。
近代再考から社会学の本質に迫る!
ベーシックな内容から応用まで。
格差や家族問題から国際紛争まで何でも扱う社会学。
では、その根本に流れる問題意識とはどのようなものか?
「無意識」の発見に象徴される、近代の理性的人間観の崩壊を踏まえ、
人々が無自覚にもつ価値観と、社会形成とを関連づけて捉える視点だ。
以上の見立ての下、デュルケムやウェーバーらを考察するとともに、
他の人文科学との比較を通して、社会学の輪郭を描き出す。
パーソンズ以降、社会学の中心理論の不在が続く現状を捉え直し、
ダイナミックに変容する現代社会を分析する上での、
社会学の新たな可能性をも探る、著者渾身の一書。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
社会学って難しい,
By ふめい (ふめい) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 社会学入門―“多元化する時代”をどう捉えるか (NHKブックス) (単行本)
社会学とは社会的に共有された文化・伝統・慣習・道徳など自分で自立しているつもりでもあらかじめ規定し限界づけている社会的な形式とその変わり方について考察する学問。その学問がなぜ求められたのか。近代を捉えようという批判的な自意識がそうしたという。その分析は難しく一般的な理論がない。過去の形式から現代を分析する方法、経験や統計などの科学的分析でとらえる方法などがあるが、多元的である社会の形式を考察するのは難しいという。社会学って奥深いというか難しい。
14 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
異色の入門書,
By いとみみず (田んぼとかにいます) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 社会学入門―“多元化する時代”をどう捉えるか (NHKブックス) (単行本)
大変面白かった。本書は大学の講義形式で3章13講に分割されている。第一章では科学における社会学の位置、科学における理論やモデルの説明。社会学に理論はあるか?社会学 の伝統的なアプローチ手法など。 第二章では社会学の歴史を概説するが、美術や数学など脱線が多い。精神分析批判や自然 選択の解説は社会学の入門書では異例。数学や美術のモダニズムと社会学の興隆を結び付 けるのはこじつけではないだろうか。説得力ある因果関係は何も示されていない。 大きく取り上げられている社会学者はデュルケームとウェーバーのみ。 第三章では近代以降の社会学の思想や社会学の未来について。 本書の特徴は著者の社会学に対する危機意識を反映した幅広い科学分野からの知識の応用だ。 著者は「理論」の重要性について強いこだわりを見せる。これはおそらく分野に一貫した指 針を与えるバックボーン(理論でもモデルでも研究プログラムでも良いだろう)が必要と言 うことではないだろうか。その有望な候補のひとつとして著者はダン・スペルベルの「表象 の疫学」を挙げている。表象の疫学とは概念が人から人へと伝えられるプロセス、およびそ の内容が文化や社会を作るという概念。たぶんより重要なのは、スペルベルは社会学を認知革命 の影響を受けなかった希有な残念な分野であるとみなしており、社会や文化は人間の脳の産物で あり、人間の行動を理解するためには脳の認知構造、特に生得的な構造を見なければならないと 主張していることだろう。本書ではそこまで踏み込んでいないが、その影響が見え隠れする。 全体的に言えば入門書としては異色で、著者のスタンスが色濃く反映されているが、初学者を 対象としているからこそ、社会学の現状を冷静に批判的に捉え、様々な分野へ目を向ける事の (それが言語学の哲学と社会思想への応用で起きたような、うわべだけのものでは意味がない のだが)重要性を述べた一冊として非常に有益だと思う。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
脱構築の後始末は?,
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レビュー対象商品: 社会学入門―“多元化する時代”をどう捉えるか (NHKブックス) (単行本)
社会学は個々の研究者の個性と興味が色濃く反映されやすいが、この教科書は理論的な側面に焦点が絞られている。浮き足立つことのない手堅い内容ながら、文章は平易で論旨も明快。とても読みやすく、何度も精読したくなる。前半部分は「方法論的個人主義」及びそれに立脚する経済学や心理学と対比させながら、社会学の視座となる「方法論的全体主義」について解説すると同時に、ナチズムや社会主義によってその価値が不当に見過ごされてきた経緯を概観する。中盤部分では、ロックやホッブスからスミスやヒュームを経て、社会学の古典であるウェーバーとデュルケムに至るまでの社会科学史をたどっており、「近代とは何か」という問いがなぜ社会学の中心的な課題なのかに迫っている。ヨーロッパの近代史や芸術史の勉強にもなって良い。 後半部分は、様々な主義や思想が、自らの、そして互いの矛盾と副作用に悩まされながら錯綜する現代世界の混迷が描かれている。政治学や経済学は、そうした社会的要請に対し、ともすれば無自覚な楽観主義を内包しながらも解決策をひねり出そうとしてきた訳だが、そうした営みの狭間で社会学はどのようなスタンスを取るべきか。筆者はこう答える。「社会的に共有される意味・形式の可変性・多様性についての学問」が社会学であり、それが故に社会学は政策科学から距離を置かざるを得ないのだと。 ただ、常識や伝統や物語を脱構築するのはいいが、破壊の後に創造がないのでは物足りない。哲学と違って具体的な社会事象を扱うのだからなおさらである。社会学者の仕事の成果をどう受け止め、どう利用するか。そうした、政策科学側の取るべき態度についても考察が欲しいところではある。
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