とても読みやすいので、細部の理解は別にして、全体の文脈を追うのに苦労することはあまりないと思います。マルクスを読んだときのような、ある種せり上がってくるようなゴツゴツした感動はないけれど、ここかしこに驚くようなことが書いてあって感心することしきりです。
例えば、学校の授業でも習った「一般意志」という、実はよく理解されていない概念が、「できるだけ個人の利益に基づいた異なる意見を数多くぶつけ合うことによって、最終的に共同体の一致した利益に到達する」ということを意味しているのにはびっくりしました。つまりルソーは、「意見や利害の多様性」を、国家運営の前提として積極的に評価しているのです。またルソーが、国家のサイズには上限があって、直接民主制を理想としていることも初めて知りました。
ルソーをはじめヨーロッパ近代の思想家たちが、国家のあるべき姿について執拗に考え抜いているのをみると、今日このような骨太の議論がなされていないことに、「彼らの時代から全く進歩していないんだなぁ!」と痛感せざるを得ません。現代人は、18世紀あたりに作られた国家・政治のモデルの上で踊っているだけのようです。