2007年から2009年まで驚嘆すべき的確な投資判断をネット上で披露した著者の新刊。金融関係者や投資家は是非ブログと併せて読みたい。殆どの読者が賛嘆おく能わざるという所感だろうと推測されるので、些か趣向を変えて書きたい。
社会主義化したアメリカは初めてではない。最も参考になるのは約30年前、ボルカー議長の時代だと考える。明確な戦略目標を持った時のアメリカの底力と集中力は凄まじいものがあり、的確な予測は困難だ。
なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物幾通りかのシナリオを提示して分岐点の所在を浮かび上がらせる手法の方が有効だったのではないかと思う。著者の禁欲的なスタイル(明確な一つのシナリオを示す)は格好良いが、愚かな信奉者が過大な期待を寄せ、最悪のケースでは騙されたと叫び出すリスクがある。
ここ暫くはドルキャリーの時代となるので、個人的には大人口を抱える国が経済成長する時に必然的に需給がタイトになる資源関連に関する分析が読みたかった。著者がコモディティに弱気なためかもしれない。中国経済・金融市場が活況で資源価格が低迷すると云う想定は現実的なのだろうか。
いずれにせよ海外投資は既にして我々のマニフェスト・ディスティニーだ。老人天国と指摘された日本の将来の方が米国より心配である(北欧型経済から学ぶしか道はないのでは)。高齢層の憂国の志に期待するこの著者には恐縮ながら、私は捨身の新人・若手がいなければ大改革を断行できないと考える。幕末も、日清日露も、戦後も、日本では全てそうだったから。