本書は、ホッブズ、スピノザ、ルソーらから始まる社会学の起源から今日での社会問題まで言及した、包括的な社会学の入門書と言える。
冒頭、社会はふたつのとらえ方があることを説明している。
* 家族や友人、職場や地域社会など共同の生を営んでいる枠組みとしての社会
* 日本社会やフランス社会のように、国家と広がりを同じ枠組みとしての社会
この二つの社会の対立の具体例として、著者は第4章、第5章それぞれで、フランスの移民問題、水俣病問題の二つの問題を掘り下げている。フランスの移民問題は、今日において解決していない。それは2005年に移民による暴動が起きたことからも明らかである。一方水俣病問題については、症例が発覚してから原告勝訴判決が出るまで15年の時間を要したが、解決の糸口は、二つの社会(共同社会と国家という社会)が結びついたことにあった。本書より引用する。
"患者たちの小さなコミュニティは内部においてはその性格をそのまま維持しながら、外部の社会へとつながっていくことができたのである。"
ここで外部との繋ぎ役として担い手となったのが谷川雁や石牟礼道子らの言論集団『サークル村』であった。
"強固な団結と持続性をもつコミュニティと、外部に向けての開かれた情報発信力をもつ公共圏が結びついたことで、水俣の運動はわが国では例外的な永続性と広がりをもつ運動体になることができた。"
この内と外の関係性は、一つの閉じた社会的ネットワーク(MixiやFacebookなど)とインターネットの世界、企業の内と外の関係性においても同様のことが言えるかもしれないが、まだ現時点で十分咀嚼できていない。内と外の関係性について、問題意識として頭の隅に留めておきたい。