本書は、損保代理店勤務である著者がかかわってきた、様々な交通事故と示談の事例を紹介したものです。
とはいえそんな固い内容でも文章でもなく、一話3ページ前後でお手軽に読めます。
車社会に生きる現代人にとっては、明日は我が身ともいうべき事件が目白押しで、読み始めるとなかなかやめられません。
プロの当たり屋紛いの被害者、頼りにならない保険会社社員、キムチ一つで暗礁に乗り上げかけた示談交渉、生き埋めにされた加害者、などなど。
「悪い加害者」「可哀想な被害者」という、簡単かつ安易な先入観を打ち壊してくれる、興味深い事件ばかりです。
ただ!
ものすっごく惜しいのが、お手軽に読める短編集のような構成ゆえに、物足りない部分が残ること。
例えば、事故を機に「仕事を辞めるから退職金代わりに1600万払え」とごねる被害者相手に調停にまでもつれこんだ時、戦いの様子が「だが、私は粘り勝った。」で終わってしまっている。
保険会社の社員が調停に一度も顔を出さなかった事など、調停前後の事には軽く触れているのだが、肝心のところ。
被害者やその弁護士との熱い攻防がすっぽり抜けている。
あっさりしすぎている。
そこが一番知りたい所なんだよ!頼むよ!
交通事故や保険選びに興味をもつきっかけとしては、お手軽で読みやすく良い本です。
次はもう一歩突っ込んで、示談交渉の熱い戦いの様子を教えてほしいです。
一般人では、なかなかその場に居合わせる事はできませんから。