「西欧にのみ何故近代科学が成立したか?」という大問題をも視座に
据えた著者の渾身の力作。近接した物体にのみ力が働くと言うドグマ
がいかに長く生き延び、磁力とその現象の説明に数々の奇説・珍説を
生み出してきたかが、物語的にそして著者自身の生きた言葉で語られる。
磁力並びに重力概念の獲得過程はそのまま自然哲学から古典物理
学への成立過程とリンクしており、その際に哲学(形而上学)の対象
=存在論の追求をひとまず留保した事により本格的な展開が可能に
なった事を明らかにしてくれる。私はその基点をケプラー(第3巻)
にみる。そして存在論は量子力学により再び蒸し返されるのだ。
・・・というようなカタイ話は抜きにしても十分に知的好奇心を満た
してくれるし、科学に興味のある若い人達にこそ読んで欲しい本です。
これが科学思想史というものです。