タイトルと内容がまったく一致していないのが非常に残念.
前半に確かに様々な確率の考え方について述べており,数学に苦手意識を持つ人でも非常に面白く読める内容になっています.序盤で紹介される Bayse理論や大数の法則などは高校まででは習いませんが,平易に解説されており初学者でも理解しやすいでしょう.また,リスクに対する考え方も卑近な例を用いて説明されており,金融の考え方の一端に触れることができます.特にリスク論に関しては,自動車社会の外部不経済の評価についての紹介があり,大変,興味深い内容でした.
しかし,後半はいきなり社会学や社会選択についての話となります.つまり,どうすれば公正な社会を設計できるか,最適な所得分配法などについて述べられており,記述は平易ではあるものの専門的な内容となっています.僕は面白く読めましたが,少なくとも発想法や日常というレベルの話ではないため,本書のタイトルに惹かれて手を取った読者はがっかりするのではないでしょうか.
内容に沿ったタイトルとすると,おそらく『数理社会学入門』,『やさしい社会選択論』,『厚生経済学概論』などになると思います.このようなタイトルだと間違いなく売れないわけですが,もう少し工夫してもにいたかったと思います.
とはいえ,厚生経済学などに触れたことがない人は,本書の一読をおすすめします.最近の経済状況による派遣切りなどか問題となっていますが,低所得者への所得再分配の必要性が理論で説明されており,勉強になるでしょう.