近年のウェブ研究を俯瞰することができる一冊.
技術的な話としては,ウェブグラフとリンク解析,クローリング技法,テキスト解析,
ウェブ上の人間行動のモデル化といったトピックを扱っている.
ひとつのモデルを詳細に解説するのではなく,あるタスクに対して使われている手法
について広く紹介をしている.
本書で用いられる数学の基礎知識とウェブの基本事項について最初に書かれているため,
この一冊で十分に勉強ができる.
複雑な理論を取り扱っていないので,学生だけの自主輪講などにも使えると思う.
引用文献が多いので論文を引っ張ってきやすい.
言い換えれば詳しく知りたい人は論文を読むべし,というスタイル.
(個人的には,イメージをつくるには十分に解説されていると思うのだが.)
あえて欠点をあげるとすれば,原書が2003年なので,少し情報が古いということ.
ただし,ここに書かれている論文を追いかけていけば,最新の研究にたどり着くので,
とっかかりになるだろう.
ウェブ解析の和書としてはかなりバランスの良い本だと思う.
既に研究をしている大学院生には復習にちょうど良いレベルの本.