今シリーズは、8巻辺りで落し所が見つからなくなって迷走状態、と感じてましたが、結局は
広げすぎた風呂敷をヤタラに派手な総力決戦の戦闘シーンと、その後の世界情勢解説的走り書き
で畳んだ、という『消化試合』でしたね。
グアム沖海戦の乾坤一擲の大勝負まで日英が苦悩しながらも総戦力を集中させていく作戦段階
はなかなかの迫力があるのですが、いざ戦闘となるとド派手な消耗戦になる。日英はもう後が
ないところまで艦船も航空機も投入しているんだから、国力に余裕のある米国は徹底的に殴り
合いしなくても、当分再起不能になるまでのダメージを与えてから悠々と残存艦を引き上げて
もよかったはず。また、大鑑巨砲の殴り合いは迫力はあるものの、なにかラッキーヒットも
多くて、いままで浮沈を誇ったモンタナ・ケンタッキー級が轟沈したり、その最期の一発で
大和を轟沈してみせたり、些か過剰演出というか、劇的なシーンにせんが『ためにする』描写
が鼻につきます。
水雷戦隊の動きは一切描かれていませんし、また、戦死したはずの五藤提督が何故か指揮を
とっていたり、8発しか積めない対B29用の大口径砲弾について『5発を無駄玉にしたが
5機は墜とした』とか、細かいところでは、この筆者らしくなく、日本陸軍の上陸作戦に
『上陸用舟艇』(今までの筆者なら必ず『大発・小発』と描いたはず)という記述だったり。
まぁアラを探せば、閃電の30mm機関砲弾が効かないはずだったB29が、短砲身で初速が
遅く、弾道特性も悪いMe262の機関砲でコロコロ墜とされたり。
(この砲を積んだおかげで、史実では接近戦を強いられたが故にB17相手にも決して絶対
優位とは言えなかったのですが)、まぁとにかく描き切ってくれたこと自体を評価しましょう。
筆者は健康を害されたこともあったのか、多少息切れ気味だったご様子で、あとがきでも
デビュー20周年だが、自分はマラソンランナータイプだから頑張ります、と。
ただ、そろそろWW2モノから離れて、現代戦(『東京地獄変』)とか、サスペンスもの
(『故宮奪還』)とか、イロモノとしての火星人モノとか、ジャンルを広げていっても
よさそうに感じます。だれもがサザエさんを40年一日の如く飽きずに見ていられるわけ
でもないのですから・・・