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「ドルジェル伯の舞踏会」みたいな作品が好きな人は、きっと楽しめると思います。
作品の筋は読んで頂くとして、その話の進め方が黒番・白番という風に交互に、しかも簡潔に、まさに碁の進め方どおりで、甘ったるい恋愛モノとは違います。
著者は中国人にもかかわらず、フランス語でこの作品を上梓したというのが凄いです。逆に言葉を選んで書き進めたかもしれないので、出来上がった作品はすっきりとして、しかし切なく重く、心に残ります。
物語は、兵士と少女の視点を切り替えながら、本当の碁のゲームのように進んでいきます。短い章の一つ一つが静謐な文体の散文詩のようで、いくつもの美しいイメージがちりばめられていて、飽きさせません。
ただの小奇麗な小世界ではなく、外側の戦争もじゅうぶん恐ろしく描けているところが秀逸です。残忍さにさえ洗練を求めるようなねじれた狂気が、死と隣り合わせにい続けることで痛めつけられた精神の混乱が、やはり静かに、強く、語られています。私はこの本で、慰安婦を求める兵士の心情が、初めて、おぼろげながら想像できました。
中盤のクライマックスシーン(読めばわかると思います)、そして最後の一章は、感動的というよりむしろ衝撃的。読んでいて、胸をどんと突かれたようでした。とても映像的なので、後から何度でも、鮮やかに思い出せます。文学の威力に脱帽です。
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