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硫黄島 栗林中将の最期 (文春新書)
 
 

硫黄島 栗林中将の最期 (文春新書) [新書]

梯 久美子
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 840 通常配送無料 詳細
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硫黄島 栗林中将の最期 (文春新書) + 散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 (新潮文庫)
合計価格: ¥ 1,386

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

硫黄島総指揮官・栗林忠道の「ノイローゼ→投降→部下による斬殺」説は本当なのか?『散るぞ悲しき』では描けなかった名将の最期が、新たな取材と資料によって初めて明らかになる。ミステリーのようなスリリングな謎解きと感動のドラマ。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

梯 久美子
1961年熊本県生まれ。北海道大学文学部卒。2006年、『散るぞ悲しき硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮社)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同作は、米・英・韓・伊など世界八か国で翻訳出版されている。09年よりNHK「週刊ブックレビュー」の司会をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 230ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2010/7/20)
  • ISBN-10: 4166607618
  • ISBN-13: 978-4166607617
  • 発売日: 2010/7/20
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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30 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yjisan
形式:新書
小笠原兵団長・栗林忠道中将(大本営は訣別電報を受けて栗林を大将へ昇進させたが、栗林本人にそのことを知る術はなかった)は硫黄島でどのような最期を遂げたのか。妻子を内地に残して硫黄島に渡り小隊長として部下を率いた30代の召集将校たちの苦悩とは。オリンピックの英雄としての奔放な言動で知られるバロン西中佐の、家庭人としての知られざる素顔。栗林の派遣参謀として父島に着任した堀江芳孝少佐の生涯の心の傷となった「父島人肉事件」の真相。皇室バッシングによって心因性の失語状態となられた皇后が硫黄島慰霊訪問においてお声を取り戻すことができたのは何故か。

前著刊行後の取材と資料によって発掘された新事実を紹介する、『散るぞ悲しき』完結編。著者の初めての硫黄島渡島の思い出を綴った「わたしの硫黄島―あとがきに代えて」も感動的だ。

白眉はやはり第1章の「栗林忠道 その死の真相」であろう。栗林の最期については、雑誌『SAPIO』2006年10月25日号において大野芳によりアメリカ軍に降伏しようとして部下に斬殺されたという異説(「栗林中将の『死の真相』異聞」)が唱えられた。著者はこの大野説を詳細に検討する。大野説の論拠は、防衛庁編纂の『硫黄島作戦について』(昭和37年)に収録された堀江芳孝元少佐の証言である。

著者は堀江証言について、
○堀江は硫黄島戦当時は父島を任地としており、栗林の最期を直接見たわけではない。伝聞情報にすぎない。
○堀江は防衛研修所戦史室の聞き取り調査(昭和36年)以後にも、栗林投降説をしばしば語っているが、情報源に関する説明が二転三転している。が二転三転している。
○堀江が情報源として掲げた証言や資料は確認されていない(「そんなことを堀江に言った覚えはない」と完全否定、など)。
といった点から、その信憑性を否定する。

また堀江が投降説と共に述べた、“栗林中将は米軍上陸後1週間くらいでノイローゼとなり、高石参謀長ら幕僚たちが代わりに指揮を取った。訣別電報も参謀が書いた”という証言に関しても、
○栗林は玉砕からおよそ20日前の3月7日、長文の戦訓電報を東京に発して、大本営の方針を痛烈に批判している。
○戦訓電報が栗林の陸大時代の教官である蓮沼侍従武官宛てとなっている。
といった事実に注目し、参謀の代筆ではなく栗林本人が戦訓電報を書いている点から見て、栗林が硫黄島戦の最終局面まで最高指揮官としての役割を果たしていたことを論証している。

著者は、昭和27年2月1日付の毎日新聞に掲載された「栗林が8月15日に2名の幕僚と共に白旗を掲げて米軍に投降してきた」という米軍将校の証言(栗林の後任として第109師団長となった父島の立花芳夫中将の降伏と混同したもの)を紹介したコラムを基に、堀江が証言を捏造した可能性を指摘している。捏造の動機としては、日本の敗戦を見通した結果、戦うことを諦めてしまった堀江の、軍人として名誉の最期を遂げた栗林に対する負い目や嫉妬が想定できよう。第4章「父島人肉事件の封印を解く」で明らかにされているように、軍人としての死に場所を得られなかった堀江の“戦後”は決して幸福なものではなかった。

降伏証言が創作され、それがある程度の広がりを持って信じられるようになった社会的背景として、著者は戦後的価値観の浸透を挙げている。
昭和27年頃になると、あの戦争は間違いだった、駆り出された兵士達は犬死だった、という言説が盛んになり、その結果「どうして栗林中将は投降して部下たちの生命を救ってくれなかったのか」という怨嗟と、「兵士思いだった栗林中将なら投降を考えたこともあったかもしれない」という期待とがない交ぜになった空気の中で、降伏伝説が生まれたのではないか、というのだ。

現実の栗林は単なるヒューマニストではなく、部下に「ゲリラになってでも敵を苦しめよ」「負傷しても捕虜とならず敵と差し違えよ」と命令する軍人であった。そうした栗林の非情さを現代の価値観によって指弾するのはたやすい。だが硫黄島が米軍の手に落ちれば本土が空襲を受け、多くの民間人が犠牲になるであろうことを、栗林は知っていた。大本営に対米和平を進言しても容れられなかった栗林としては、どんなに戦死者を出そうとも、徹底抗戦してアメリカ国民の厭戦気分を喚起する以外の方法はなかったのである。栗林は戦略的・戦術的制約の多い中、現地指揮官として最善を尽くしたと言えよう。

著者は言う。「現代の私たちの感覚で戦場を語ろうとするとき、多くのものがこぼれ落ちてしまうことを忘れてはならない」。勝手な意味づけを行うのではなく、死者の声なき声に謙虚に耳を傾け、ただただ祈ること。それこそが慰霊の正しい在り方なのだろう。
このレビューは参考になりましたか?
14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:新書
「散るぞ悲しき」から5年。あの時、資料が足りずに書けなかったことや、紙幅の関係等で書かなかったことなどが、5つのフェーズで取り上げられています。
「栗原忠道 その死の真相」「三人の若き指揮官の肖像」「バロン西伝説は生きている」「父島人肉事件の封印を解く」「美智子皇后 奇跡の祈り」です。

本来は、タイトルにもなっているように、「栗原中将の最期」の真相を書くのが目的だったのでしょう。
確かに、その部分の調査も大変だったろうし、なかなか興味深い内容になっています。
しかし、それ以上にショックだったのは、何と言っても「父島人肉事件」です。
この事件については全く知らなかったし、人肉を食べると言う事自体でも相当な衝撃なのですが、それが食糧が無かったとかそういうことではなく行われたということに一層のショックを受けました。
追いつめられると、人間はここまでしてしまうのかと唖然としてしまいました。

この本は、見た目では雑多な寄せ集めのような気もするのですが、最後の「美智子皇后」の章で見事に締められています。
この皇后の「祈り」に心を打たれます。
そして、日本人だけでも20,000人の死んだ墓場のような硫黄島を悼む皇后の姿が目に残ります。
このレビューは参考になりましたか?
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
硫黄島、
日食のテレビ中継で初めて目にしたとき、
岩石だらけで無機質なのに、
目に見えぬなにかの気配が圧倒的に感じられました・・・。

戦場となったその地のことは、名前しか知らなかった40代ですが、
その後、前作「散るぞ悲しき」を読み、
更に今作を読んで、とても感慨深かったです。

職業軍人の栗林中将、バロン西、父島人肉事件他
美智子皇后のエピソードで締めくくられていて、
今の日本に生きてることの背景を深く考えさせられました。

著者のような視点、文章で著された戦争に関する本は、
広く関心を持ってもらえるのではないかとおもいます。

若い人には、水木しげるさんの「総員玉砕せよ」も
併せて読んでほしい。
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