太平洋戦争の最大の激戦地のひとつ「硫黄島」をめぐる、日本兵の回想録。
構成としては大まかに四名による回想になってます。
前二者は、文字通り激戦の模様をリアルに。
三者目は元兵団参謀だけあり、データと精緻な記憶で分析的に。
栗林兵団長に対する冷静な評価も興味深い。
そして最後の元海軍上等兵曹(著者)の手記は、
硫黄島参集の発令から、小笠原を経由して現地までの輸送、
米軍の襲来までの日常に重きを置いて綴られています。
今話題の映画「硫黄島からの手紙」での一兵卒のような、
少し斜に構えた視線で、当時の状況を描写しています。
極限の状況と、それでもユーモアを忘れない兵隊たちの様子が
生き生きと描かれ、それが逆に戦争のナンセンスを炙り出すよう。
水不足に苦しむ島で、待ちわびたスコールが来たときの、
彼らの狂喜乱舞のシーンがとても印象的。
戦闘の記録を期待して購入しましたが、予想外の収穫でした。