クリント・イーストウッドの硫黄島での日米の戦いを描いた二部作を鑑賞する前に予備知識をと思い読んだ本だったが、読んで良かったと思いました。
何よりも、この戦いについて何も知らなかったという事実に気づいたことがことです。ミッドウェイ以降の戦いというのは、圧倒的な勢いでなだれ現象を起こしたと思っていました。しかし、硫黄島が日本の本来の領土であり、首都東京ののど元にあたる位置にありました。そのために、この時期にありながら、十分な準備をし、5ヶ月の篭城に耐えられる用意がされていたということです。結果、この日米の決戦は稀に見る激戦になりました。
そんな激戦の状況に対するアメリカ本土のいらいらを救ったのが、星条旗を掲げる1枚の写真でした。それが最初の星条旗の掲揚でなかったとしても、アメリカ人に対する安心感の根拠となったことは事実でしょう。
それに対する、生き残ったこの写真の海兵隊員が、その「名誉」を喜びとしなかった心の問題を、この本は見事に表現しています。ここにこそ、戦争の勝者、敗者に共通する感情があるような気がします。
ピューリツァー賞を受賞した1枚の写真を基に、戦争の悲惨さ、空しさを良く表現した作品だと思います。