今回は同性愛成分少なめ。というかほとんどナシ。
『ゴルゴタ』は元自衛官が主人公でしたが、今度は刑事です。
相変わらず、物語を裏打ちする豊富な知識が素敵です。
では物語紹介をば。
舞台は近未来日本(10年後くらい)
対テロ戦争に完全に巻き込まれ、東京で自爆テロが起こっているような時代です。
主人公の置かれた状況は、政治的な意図もあって新設されたある班を率いて、大規模な自爆テロ事件を追う捜査の一角を担う事。
警視庁精鋭(はみだし)班vsテロリスト。
燃えるシチュエーションなのですが、惜しむべき点も。
一つ目は生活臭のなさ。
深見作品の特徴と言えばその通りなのですが、基本的に異常者しかいないので、ハードボイルドのエッセンスの一つである、泥臭いくたびれた人生観がほとんど見られません。そのせいか、血臭も硝煙もいまいち訴えて来ないものがあります。
二つ目は犯人の薄さ。
ミステリー小説でもそうですが、ハードボイルド小説を生かすも殺すも敵の人物像次第です。
なので、本当にドラマや背景を持っていなければならないのは、実は主人公ではなく犯人側なのですが、本作ではもっぱらフォーカスが主人公に当たっていて、犯人側の深い掘り下げがありません。
それらの点が少々残念……と書くと、私も作者への要求が大きくなって来たかな、という気もします。