この映画の出来にはどこか中途半端な印象を受ける。かといってどうしようもない駄作かと言えば決してそうでもない。
シャロン・ストーンの魅力は感じられるし、底は浅いもののサスペンスの要素も盛り込んであって、一応退屈しない出来栄えにはなっている。
でも、ここで最もいけないのは、監督フィリップ・ノイスが限られた時間の中、S.ストーンの持つ上品な色気とサスペンスによる緊迫感、そして主人公の心理状態を同時に詰め込み、これでもかと振りかざして見せているところにある。
もちろん今回の場合、脚本そのものがダメだったということも否定できないだろう(何と言っても、あの趣味はどう考えても下品だ)。
でもこの映画を、たとえば「危険な情事」や「ナインハーフ」のエイドリアン・ラインがメガホンを取っていたのなら、このような出来にはならなかったのではないだろうか。
このあたり、F.ノイスには、まずエロチック・サスペンスが不向きだったのでは?と思ったりするのだが、少しばかり彼のことを弁護しておくと、彼は決して駄作ばかりを撮っているわけではない。「今そこにある危機」や「ボーン・コレクター」のような秀作映画も残してくれているのだ。
そのあたりちょっと惜しい映画でもあるのだが、私の頭の中では「二兎を追うものは一兎も得ず」という諺が思い出され、「柳の下にドジョウは二匹いない」こともよくわかった映画でもあった。