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破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた
 
 

破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた [単行本]

フランク ライアン , Frank Ryan , 夏目 大
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

われわれは、ウイルスと共に進化してきた!

生命観を一変させる衝撃の書!

 鳥インフルエンザ、ノロウイルス、エイズなど、私たちの生活を脅かす恐ろしい感染症を引き起こす病原体・ウイルス。やっかいな寄生者のはずのこの微粒子が、ヒトを含む生物の進化にきわめて重要な役割を果たしていることが、近年の研究から明らかになりつつある。
 進化生物学者にして医師でもある著者が、ヒトをはじめとする動物、植物、昆虫、細菌にいたる多種多様な生物とウイルスとのダイナミックな相互作用を世界各地で調査。癌や遺伝子治療など、医療分野で進む応用研究も詳しく紹介する。多くのノーベル賞受賞者、大野乾ら日本人研究者も多数登場。ウイルス研究の最前線から見えてきた、ダーウィンも知りえなかったまったく新しい進化のすがたとは? あなたの生命観を一変させる、未知の探究の旅へようこそ。

内容(「BOOK」データベースより)

鳥インフルエンザやエイズはやがて無害になる?ヒトゲノムはウイルスがつくった?ウイルス学のがん治療への応用とは?ミクロの微粒子が現代ダーウィニズムを書き換える。生命観を一変させる衝撃の書。

登録情報

  • 単行本: 448ページ
  • 出版社: 早川書房 (2011/1/21)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4152091908
  • ISBN-13: 978-4152091901
  • 発売日: 2011/1/21
  • 商品の寸法: 19 x 12.8 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yasu
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ウイルス研究を専門にしているものとしては、進化の促進力としてのウイルスという内容要約を見た瞬間、
今更、そんな考えどこがあたらしいのかね、と斜に構えてしまった。
ハロルド・ヴァーマスとマイケル・ビショップのprovirus theoryの焼き直し版ではないかと感じたからだ。

まず内容についてだが、参考文献は一般的に高級紙と呼ばれる雑誌を中心に論文が引用されている。
すなわち、信頼性の高い情報を基にして議論がなされているという事である。

この結果浮かび上がってきた事実はおどろくべきことに、我々のゲノム上には、一般的に遺伝子と言われる機能遺伝子の実に6倍位以上の量の
内在性レトロウイルスとLTRが存在しており、それ以外のウイルスやトランスポゾン由来産物を加えると実に50%近くが外来のウイルス様の遺伝子情報で
構成されているということだ。

すなわち、ゲノムシークエンスで見る限り、我の生体構成情報の50%がウイルス様の遺伝子情報で構成されていることに成り、この事だけでも衝撃的である。

さらに、この内在性レトロウイルスの外突起蛋白質構成遺伝子を宿主が利用して、生体内での様々な生理現象に活用されているということである。
すなわち、ウイルス由来遺伝子はヒト遺伝子のコントロール下で宿主の機能遺伝子として働いているのである。

さらに、内在性レトロウイルスとLTRが相同組み換えやトランスロケーションに関わっている事例や、
様々な動物とそれをホストとするウイルスの例を紹介させられたあとで、
筆者の提案するウイルスと人が共生的に進化したという仮説は十分に妥当なものであると感じられた。

筆者は更に進化を推進する力として、それ以外の共生発生としてのミトコンドリアや葉緑体、さらに異種交配、エピジェネティクスと筆を進め
進化推進力研究のフロンティアを概括させてくれる。

研究者としては、ウイルスの部分は驚きであり(筆者がいうように極めて妥当な考えだと思うが、まっくそんな事に気づいていなかったよという感じ)。
それ以外の部分については、進化論的に既にこれだけの推進力が明らかになってきているのだという意味で、まとめ上げられると、まさに圧巻という感じであろう。

ただ、病気と内在性ウイルスとの関係に付いては、多くの研究が断片的であり、本書に紹介されている事実を持ち納得できたということにはならなかった。

翻って考えると、HIV-1感染症の広がりはますます強まっているように感じられ、免疫学のプロの間では、
初期感染を抑制できるHIV-1ワクチン開発がまず成功しないだろうということが常識となりつつある。
HIV-1感染症患者の中にはエリートコントローラーと呼ばれる感染しても発症しない一群が存在することは明らかになっており、
世界規模では、まさにHIV-1と人との共生進化は現在進行形なのであろう。

この本は、ウイルスの専門家、進化に興味がある人、医学生、生物研究者、素人、すべて人に進めます。

信頼性の高い情報を基に、バランス良く情報を網羅して、執筆された良質の科学書だと思います。
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9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By k007
ヒトゲノムの解析が終わってわかってきたことがいくつかある。その中には、人間の遺伝子の中に、あきらかにウイルスのものと断定できるコード(もしくはコドン)があったというのもある。これらは、ヒト内在性ウイルスと呼ばれているが、この遺伝子のひとつはヒトの胎盤の成立に深く寄与しているという。実は、ヒトも含め、生物の進化には、これら内在性のウイルスが大きな影響を与えている。これは、遺伝子の横断的なやりとりにより、進化に速度を与える、または後成的(エピジェネティック)な進化を起こすのではないか、これが本書の立場である。

医師であり進化生物学者である本書の著者は、最新のウイルス学、分子生物学の成果をもとに生物の進化に対する新しい考え方を解説していく。内容の展開は、読者をぐいぐい引っ張っていくもので、幅広く取材した成果が的確に生かされている。

日本人として嬉しいのは、日本の研究者の成果があちこちに掲載されていることだ。この分野でのわが国の先進性が評価されている。高月清、日沼頼夫、吉田光昭、大野乾といった著名な学者のほかに、かわったところではスズキ自動車のジムニーまでが紹介されている。

レトロウイルスが宿主に対して凶暴な性格から穏和な性格に変化していく経緯については、ポール・イーワルドの『病原体進化論』にも詳しいが、ウイルスと共生することで進化がより促進されたという本書の主張は、ウイルスに対する従来の考え方を根本的にくつがえすものであろう。
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「ウイルス=病原体」というような浅はかな思い込みをしていた(私のような)読者にとっては、ガラリと生命観が変わる本。
こう言っても誇大○○になりはしないだろう。

本書の原題は「ヴァイロリューション」。ウイルスとエヴォリューション(進化)の造語である。
書き出しから100頁くらいまでは、スムーズに入っていけた。途中にけっこう科学論文を要約したような平板なくだりが顔を出するので、読み物としては、いまひとつ読みやすくない。でも、とにかく知的刺激に満ち満ちた展開。途中で読み飛ばしたくなる誘惑がそのうち消えた。

「ウイルスを生命体として見ないとウイルスは理解できない」と著者は説く。
ウイルスはあらゆるゲノムに侵入できる能力をもち、いったんゲノムに入り込めばそれを支配する。ウイルスのゲノムと宿主のゲノムが結合するのだ。

びっくり話の連打。頁を繰る手が止まり、思わず叫び声を上げそうになった。ここでは、そんなトピックの内、2つだけピックアップしておく。

●現代人の遺伝子の46%は、過去に感染したウイルスの残骸か、ウイルスに関連した因子、ジャンク(がらくた)DNAである。
●ヒトとチンパンジーが共通祖先から分岐した後の100万年くらいはお互いに交雑するハイブリッドだった。

私なりに頭を冷やして考えてみた。
30億年前から生物と共生してきたウイルスである。単に感染症の運び屋にすぎなかったと思うことは、どう考えてもあまり合理的ではない。
実際、ウイルスはヒトの胎児を守っているのだそうだ。
ウイルス研究は近年になって急速に進歩しているという。未解明な部分に光が当てられると、まだまだ面白いことがわかってくるにちがいない。

「異種交配」は進化の原動力だという。ダーウィンの進化論に書き足さなければならないことのひとつは、この点にあるのだそうだ。
異種交配によって新たな種を生み出せば、遺伝子の多様性が増える。ナルホド、環境に対応していくには、道理にかなった戦略といえるだろう。
多様性が増せば、気候などによる生存条件の大きな変化があるとき、その変化にうまく対応して生き残れる可能性も増すというわけだ。
実際、小麦、サトウキビ、コーヒー、綿などはどれも交配種だそうだ。

うまくいけば人類の寿命が大幅に伸びるのでは。しかも健康に生きられるかもしれない……読後感はかなりさわやかである。

                                              * *

このジャンルの概説書としては、『ウイルスと地球生命 (岩波科学ライブラリー)』(山内一也)という本がつい先ごろ(2012年4月)出版された。
本書の出版後に判明した新事実を含め、包括的な内容がコンパクトにまとめられている。
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