この巨竜とタイトルにつくシリーズは、それぞれ艦船が主役であり、戦術面のIFを描いた独立した物語であるが、今回の主役は史実では計画のみに終わった金剛級代艦の一つ、超甲巡である。夜戦の支援と指揮のために計画された超甲巡だが、その使い勝手の良さと獰猛さがそれに相応しい皮肉屋で有能な指揮官を得て、ソロモンの夜を彩ることになる。
巡洋艦を食いちぎり、新鋭戦艦にすら食い下がる超甲巡が、史実では比叡・霧島を失った海戦で見せる活躍は、まさに胸がすく思いがする。
大和級のような重厚感がある戦闘とはまた違った鋭さを持つ超甲巡の戦いを著者ならではの筆致で描いている。
電探と合理的な装甲配置、新型徹甲弾、それに高い発射速度を持つ主砲、それらを活用しきる指揮官の組み合わせは当に圧巻の一言に尽きる。
また、同じような位置付けの艦艇の活躍を描いた横山信義氏の「巡洋戦艦浅間」シリーズや佐藤大輔氏の「目標、砲戦距離四万!」内の短編と読み比べてみるのも面白いと思われる。