第二集でちょっとがっかりしたので、どんな展開になるのか不安と期待で表紙をめくった第三集。
前半は震災前の対談などが掲載されていて、内容はいわば”佐々木中による「文学空間」(言い過ぎ?)”といった趣き。
「書く」とは?「文学」とは?「芸術」とは?
これらの問いが執拗に繰り返される。
オルフェウスは焦燥のうちに眼差しを向けた。
あまりにも「見えすぎる」眼差しがその能力を失っていき、「見ることとは違った仕方で」芸術に向おうとする佐々木氏の眼差しに湛えられるのは何か?
焦燥か?忍耐か?あるいは?
後半の2章は震災後のものである。
震災関連の言論はいくつかあるが、読み応えがあるものの一つではないだろうか。
今回の震災に絡めてクライストの佳作「チリの大地震」を取り上げた論者は、私の知る限り二人だけなのだが、佐々木氏はその稀有な言論者の一人である。
クライスト、安吾の読みから、他罰的態度に向わずに新しいGrundの生成を呼びかけるその態度は、真摯かつ説得力がある。
最後は、いわゆる「ジャスミン革命」について。フーコーの考える「知識人」のあり方を正当にも継ごうという意志を感じさせられる力強い論考。
いつものことだが、勇気をもらえる一冊。