昨今、技術経営(MOT)が流行りであるが、研究開発マネジメントの基本をおさらいしたくて買った本です。大学の先生の本であるので、事例研究も外形的なものが中心であるが、それでも内容的には良くまとまっており、研究開発マネジメントにおいて考慮すべきこと、基本的な考え方を整理するには良い本だと思う。
但し、この本を読むときには下記の二点について注意が必要と思う。
一つ目は、この本の初版が1993年であるために、いわゆる「お手本のない時代」という時代認識を踏まえた(これ自身は悪いことではない)、(今から振り返ると、過度な)基礎研究重視の姿勢を基本としており、産学連携の視点が無いこと。
二つ目は、「失われた10年」後の、日本的技術経営の強さの再認識(まだ、これには確立された答えが無いが。)に関する視点からの考察が無いこと。
しかしながら、この本では多くの重要なポイントが指摘されている。
例えば、技術の重要度(萌芽技術、途上技術、戦略技術、基盤技術)と技術開発戦略(技術導入、共同開発、自主研究)のマトリックス('V.研究開発と組織)には、新規の技術開発における社外資源の活用の重要性が示されている。(一般に技術屋は、Not invented here の技術を否定しがちであるが。。)
また、ポスト不足による技術者の高齢化と陳腐化の問題についても指摘されている。
技術者の陳腐化:純技術的な専門能力が陳腐化していなくても、それに関連する事業分野が企業にとって不必要になるとその技術者が陳腐化する問題。これを避けるには、継続的な能力開発を行うか、貢献に見合った賃金に改定することが必要になる。
この本は、研究開発マネジメントに関して多くの視点からまとめられており、研究開発マネジメントの基本について、全体を知りたい人には、とても役に立つ入門書である。