今の政治家のように批判はするけど「僕には責任はない。」そういうだらしない大人たちの無責任さを感じてしまう。現状を変えようと努力しているわけでもないのでノンフィクションかルポルタージュかと問えば、「僕は批判はしていない、これは小説だ」という。小説として読んでも読後は医療のあり方について考えさせられてしまう。本当に何が書きたかったのだろうと嫌悪する。
とても爽やかに描かれているのは、著者が医療に執着がないから。おそらく患者や人に対してもそうなのであろう。
アルバイト医師といっても給料は病院に勤める医師とさほど変わらない。お金にも時間にも仕事内容にも余裕のある人が、「まあ本でもかいてみるか〜」。残念ながら文庫になった字面からはお気楽なイメージしか伝わってこなかった。初版当時と医療の制度も随分変わった9年後、何故再発刊されたのか解らない。若者たちは就職難を乗り越えて社会人となった。昔と違い感謝の心を持ってたくさんのことを学んでいる。彼らから見てもお気楽としか映らないのではないか。
「たったひとつのこと」は「患者の為の医療」ではなく「命のための医療」である。チームワークや医師同士のコミュニケーションはもっと大切なはず。著者の一方的な思いで書かれていて、医療を知らない一般人は不安をあおられていることに気づいてほしい。今日も命の現場では沢山の医師が懸命に働いている。本物の医師の書いた作品を世に出すべきである。
後書きに「面と向かって僕に反論した医師が一人もいなかったのが残念」と書かれていたが、それは著者が相手にされていないから。どこまでも自分本位な著者のあとがきを読み、情けなくかわいそうに思ったのは私だけだろうか。多分作家としての執着もないのだろう。レビューを見ても同じような意見がたくさんがある。編集者は電子化の時代、紙に残す価値ある作品を再発刊すべきではなかろうか。