海辺の町に生きる、どこにでもいるけど少し不幸な女子中学生・山田なぎさは、自分を人魚だと名乗る転校生・海野藻屑により、いままでの生活が狂わされた。家族のため、兄のために、生きるための実弾を欲しがっていたなぎさと、砂糖菓子の弾丸を撃ちまくる藻屑の奇妙な友情を描く青春暗黒物語。
この文庫は最初富士見ミステリー文庫出だされたそうで、ゆるやかなロングセラーにより、新書になって再出版された。
私はこの本で初めて読んだので、これが挿絵付きのライトノベルで出版されていたというのは不思議な感じがした。万人向けではないかもしれない独特な雰囲気を持っていたから。
タイトルからしてそうだけど、言葉の使い方が絶妙で、この人の文章センスが好きだった。
そして物語は冒頭から、ラストがどうなるのかはっきり示されていた。
そう、読み始めた瞬間、残酷な結果を提示される。
でも、そうならないで欲しい。そんな気持ちで読み進められるほど、痛々しくて切なくて、そしてちょっぴり息苦しい物語。
実弾を求める少女。砂糖菓子の弾丸を撃ちまくる転校生。貴族の兄。
みんな生きるために、自分を守る膜を張っていた。それは誰かのために働くことであったし、嘘で身を守ることでもあったし、自分の世界に閉じこもることでもあった。
痛々しくたたきのめされながらも、現実は死んじゃった子と生き残った子の2種類しかいない。
儚さと無力さを見せつけられる様なお話でした。
良質なラノベは退屈な文学を上回るのだ、と証明している一冊だと思います。普段ラノベを読まない方にも、お薦めです。