塩や砂糖などの粉流体の動力学と聞くと、複雑系の範疇の1つに入る分野で取り扱われる
題材かと思いますが、その粉流体の集合を「流れ落とす(砂時計)」、「吹き飛ばす」、
「かき混ぜる」、「吹き上げる」、「ゆする」ことにより、通常の流体である「水、
沸騰する湯、空気」のような挙動を示すことが例示され、更にそこでは粉流体と流体との
現象の違いについて考察されています。
若干のシミュレーション解析が示されていますが、主に現象論的な解釈が中心と
なっています。
このような系においては物理という学問からのアプローチでもまだまだ不明な点が
多いことから、筆者は終章に粉流体現象を解明する意義やシミュレーション予測の
方法論と意義などについての考察を基にして、科学全般にわたる根本から問いかけが
なされており、これも効果的に現代科学のアプローチに対して一石を投じていると
思います。
ただ、本書を通じての印象ですが、肝心の粉流体の現象については雑学的視点での
解説に終始してしまっているところがやや残念に感じられました。